研究課題/領域番号 |
25420848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
太田 匡則 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60436342)
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研究分担者 |
前野 一夫 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30133606)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 航空宇宙工学 / 定量的密度計測 / 3次元計測 |
研究概要 |
本研究では,Background Oriented Schlieren (BOS)法を用いた,定量的な密度計測において,その計測精度の向上と,Computed Tomography (CT)法を利用して,流体の密度に対するより汎用的な3次元計測を実現するための新しい再構成手法の開発を目的としている.これまでのBOS法による計測では,背景画像を設置してデジタルカメラで撮影する手法が一般的であったが,この方法では,通常のカメラレンズを使用して撮影を行うため,カメラレンズの焦点を合わせた背景画像とその手前に位置する計測対象との距離が焦点深度より大きくなる場合に生じるデフォーカスの問題と,通常のカメラレンズを用いることによる,カメラから遠くにある物は小さく,近くにあるものは大きく撮影されるといった画角の問題があった.この問題を解決するために,新たにテレセントリック光学系を導入してBOS法の計測精度の向上を図っている.テレセントリック光学系では,2つのレンズの組み合わせによって背景画像からの散乱光のうち,カメラへ入射する主光束は光学系の軸に平行なもののみとなるため,画角による問題を回避することができる.また,焦点深度が通常のカメラレンズに比べて大きいため,背景画像と計測対象の双方を焦点深度内におさめることができるので,デフォーカスの問題も克服することができる. 本研究では飛翔体表面からのジェットと超音速流との干渉場を高速度カメラとテレセントリック光学系を用いて計測し,その有効性を検証している.また,新しい再構成手法の開発においては,これまで同一平面内においてのみ投影像を得ていた手法を改良し,3次元空間の任意の位置から投影像を得て,再構成を行うことができるアルゴリズムの開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超音速風洞における計測実験では,再現性のある非定常現象を対象とした計測実験を行い,そのデータの解析中である.超音速風洞において,実験から非定常現象における密度情報の定量的3次元情報を得る事が実現できる見込みである. 新しい再構成手法の開発に関しては,デジタルカメラの台数を12台として実験を開始している.カメラの配置による,再構成後のデータの精度に対する影響を検証するため,単純な数値モデルを用いて実験を模擬したシュミレーションを行い,開発した手法の評価を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,まずは新しい画像処理プログラムの開発が挙げられる.高速度カメラを用いて撮影を行った実験では,一度の実験で非常に多くの画像を取得することが可能となるが,これら全ての画像を解析して定量的なデータを求めるためには非常に多くの時間と手間を要する.現状では撮影された画像を1枚ずつ解析する手法となっているが,これを自動化して多くの画像を効率良く解析することができるように,画像処理プログラムの開発を行う予定である. 新しい再構成手法の開発においては,カメラの配置の検討を重ねて,12方向からの計測と再構成によって,最も誤差が小さくなるような配置を見いだして,実際に計測実験を行う.これまでに行った予備的な実験では,12台のカメラを1台ずつ所定の位置に設置されるように準備しているため,実験開始までにかなりの時間を要している.このため,効率良く実験を行えるように設備を整えたのち,蝋燭等を熱源とした自然対流や噴流などを計測対象として実験を行い,本手法の計測精度の検証を進め,様々な計測対象へと適用していく予定である.
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