研究課題
2015年度は,皺や折り目(ミウラ折りを含む)の生じた薄膜の振動応答を格子投影法で計測し,振動応答の空間分布が従う確率モデルについて検討した。前年度までは計測した変位データを加速度データに変換して検討していたが周波数成分が高くなるにつれ計測データのノイズの影響が無視できなくなることが分かり、2015年度は変位データをそのまま利用して検討した。また、空間分布特性を詳細に検討するために計測データ点数を増やして検討を行った。その結果、データ点数が少ない場合は膜面のパワースペクトル振幅値の空間分布は経験的に対数正規分布に従う結果となったが(2013年度報告)、データ点数を増やして検討したところ全データ数の20%程度の数値(振幅値の大きいデータと小さいデータ)は対数正規分布から外れる傾向にあることがわかった。また、膜面のパワースペクトル振幅値の空間分布は皺や折り目の有無に関係なく平均振幅値の周辺では類似な分布特性になる傾向がみられた。また,薄膜全体の挙動を計測するため複数台のカメラを用いて計測する機能を追加した.研究期間全体を通して得られた結果を以下にまとめる。1)膜面の振動応答に「皺・弛み・折り目」が及ぼす影響膜面に生じた皺は皺線に直交する方向に曲げ波が入射すると反射波を発生させる効果があり膜面の振動応答に強く影響を及ぼす。しかし、膜面の折り目は皺ほど顕著な影響を及ぼさない。2)皺・弛み・折り目を含む薄膜の振動応答が経験的に従う確率モデル膜面の変位パワースペクトル振幅値の空間分布は対数正規分布のような理論モデルには従わない。しかし、平均振幅値周辺のデータは皺や折り目に関係なく類似な空間分布特性を持つ傾向がみられた。
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実験力学
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http://www.mech.tottori-u.ac.jp/koriki/index.html/Kaken_iwasa_2013-2015.html