核融合は宇宙推進に非常に適している。なぜなら、核融合反応では、他の化学反応や核分裂反応に比較して、単位質量あたりに発生するエネルギーが非常に大きいため高温・高速のプラズマが容易に得られる。核融合反応で生成した膨大なエネルギーを持つプラズマを、磁気ノズルにおいて磁場との相互作用を利用し(固体壁との相互作用無く)運動方向を変えることにより,推力を得ることが出来る。従って、従来の推進機では不可能な、高い排出速度(即ち高い比推力)と大きな比出力を同時に達成可能であり、核融合プラズマを利用した宇宙推進システム(ロケット)は、画期的な高速推進システムとして非常に有望である。磁気ノズルにおいては、磁場がバネの役割をし、プラズマを跳ね返し、放出することによって、推力が発生すると考えられている。 磁気ノズル中のプラズマ挙動に関して、我々は長年にわたり数値解析により解明してきた。また、実験による原理実証を通しても解明する努力を続け、ようやく大阪大学レーザーエネルギー学研究センター(レーザー研)の装置(激光)を用いて、磁気ノズル中のプラズマ挙動について模擬実験(レーザー生成プラズマを使用)を行い、世界に先駆けてスラスト・スタンドにより推力を直接的に評価し、磁気ノズルが実際に働くことを証明した。 残された課題は、実用機にいたる設計の指針となるスケーリング則を確立すること、また、推進効率の大きな最適な磁気ノズル形状を探ることである。 残された課題は、我々のこれまでの実験を発展させて、最終的には、実用機にいたる設計の指針となるスケーリング則を確立すること、また、推進効率の大きな最適な磁気ノズル形状を探ることである。 本年度は、激光装置を用いて、磁場中でのプラズマ挙動を観測した。磁場強度が強くなるにつれ、プラズマ膨張が押しとどめられるのを明確にした。この成果は、現在論文化の作業中である。
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