本研究は,船舶の各種機器の制御装置からの運転情報を取得し,各種機器の発する振動や音響,熱,配管のひずみ,腐食など,機器の故障や劣化の予兆を検出し,さらに各種機器の健全状態を診断する計測装置を開発することを目的としている. 最終年度である平成27年度は,過去2年間の研究成果をとりまとめ,目的とする計測診断システムの試作機を完成させ,性能の確認と最終改良を行うことを計画していた. (1)機関室内各種機器の設置環境情報を収録する計測装置の開発については,オープンソースハードウェア,ソフトウェアを利用した計測システムを開発し,加速度,振動,温度,ひずみ等を記録する計測システムの原型を開発した.また,圧電材料を利用して開発した変動ひずみ,振動計測システムにおいて,周囲環境として計測結果に対する影響の大きい温度変化影響を実験的に調査し,計測結果の補償法をついて提案し,計測システムに実装した.また,環境影響を受けにくい圧電ひずみセンサの試作を行った. 次に,(2)機関室内各種機器の故障,劣化予防に関連し,センサによる予兆現象計測だけでは機器故障,および劣化を未然に防止することは十分に達成できないことから,事前に補機システム内の故障原因物質の挙動把握を可能にするためのシミュレーションモデル開発を行った.例として,主機関潤滑油性状維持システムの機器配管およびタンク内の流体内微粒子の流動挙動解析を実施し,微粒子除去のための作業改善手法の提案を行った. 以上,研究の結果から,機器診断用装置開発において,基本構成を確立することが出来たと考えられる.
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