近年,船体構造の軽量化を実現できる可能性を持った構造要素として,コアパネルをスキンパネルで挟み込みこれらをレーザーステイク溶接で接合した,鋼製サンドイッチパネルが注目されている。鋼製サンドイッチパネルを大型商船の強度部材として使用するためには,2軸方向の面内荷重ならびに面外分布荷重を受ける場合の崩壊挙動を明らかにするとともに,設計時に強度推定を可能にする簡易的な算式の開発が必要となる。 本年度は,コルゲートコアならびにウェブコアサンドイッチパネルを対象に,これらが長さ方向ならびに幅方向に面内圧縮荷重を受ける場合を想定して,FEM による弾性座屈固有値解析ならびに,弾塑性大たわみ解析を実施して,その圧縮崩壊挙動の特徴を明らかにした。その際,スキンパネルやコアパネルの板厚を変化させて,これらが座屈強度や最終強度に大きな影響を与えることを示した。さらに既存の防撓パネルとの比較から,幅方向圧縮に対してサンドイッチパネルのメリットが高いことも分かった。さらに,明らかとなった崩壊挙動に基づき,サンドイッチパネルの最終強度を推定する簡易手法の提案を行った。更なる改善が必要な状況にあるものの,十分な有用性があることを示すことができた。 また,面外分布荷重が作用する場合の崩壊解析も行い,スキンやコアパネルの板厚,さらに支持部材間隔を変化させ,これらが崩壊強度に与える影響を調査した。その結果,主な崩壊モードとして,サポート部の局所的な潰れによる局所崩壊モードと,パネル全体にたわみ変形が生じる梁的崩壊モードとに分類できることを明らかにした。また,簡易的に上記の2つの崩壊モードを予測する方法を提案するとともに,梁的崩壊モード時の強度を推定する簡易手法を検討し,さらなる精度改善が必要なものの,設計上重要な安全側の強度評価が可能であることを示した。
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