研究課題/領域番号 |
25420869
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
茨木 洋 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20274508)
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研究分担者 |
古川 芳孝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90253492)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ポッド / 流体力 / 模型試験 / 針路安定性 / 運動性 / 操縦性 / 内航貨物船 |
研究概要 |
平成25年度は,まず,ポッド推進船の裸殻船体の操縦性能の把握を目的として,拘束模型試験(旋回試験・斜航試験)を実施した。供試船としては,新規に製作したポッド推進船型の模型船を用いた。実験パラメータとして,通常船舶の実験と同様に斜航角,旋回角速度を設定することに加えて,ポッド推進船特有の操船に伴う大きな斜航角および大きな旋回角速度における船体流体力についても計測を行なった。また,船体前半部の形状が同じである既存の通常プロペラ推進型貨物船の流体力計測試験を行なうことにより比較データを得た。 次いで,ポッド推進器を装備した船体に作用する流体力の計測を行なった。具体的には,ポッドを装備し舵角を0度とした状態で拘束試験を行ない,ポッドが船体流体力に及ぼす影響について知見を得た。また,通常のプロペラ推進である同形貨物船に舵を装備し舵角を0度とした状態で拘束試験を行ない,舵が船体流体力に及ぼす影響について比較データを得た。 得られた流体力の計測結果に基づき,旋回性能と針路安定性についての検討した。同型の貨物船は舵を装備することにより針路安定性が安定側に変化するのに対して,ポッド推進船はポッド装備によっても針路安定性がほとんど変化しないことがわかった。針路安定性を改善するために,センタースケグを増設して船体流体力を計測したが,今回追加したスケグでは,ほとんど改善がみられなかった。ポッド推進器を装備した状態でも,ヨー減衰力およびスウェイ減衰力の着力点の位置が裸殻状態に比べてあまり変化せず,スウェイ減衰力の着力点がかなり前方にあるためであることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であったポッド推進船の裸殻船体に作用する流体力の計測に加えて,ポッド装備状態およびスケグ延長状態の流体力計測を行なうことができた。同形のプロペラ推進船の計測結果と比較することにより,ポッド推進船の船尾形状に起因する針路安定性の問題点を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
ポッド推進器の作動状態が運動性能に及ぼす影響が大きいと思われるため,ポッド推進器を装備した状態で,操舵角等を追加パラメータとして計測を行ない,推定モデルの基礎となるデータを得ることとする。また,針路不安定な傾向を改善するために,観察や解析結果に基づいて,フィンやスケグ等の付加物の効果について検討する。 次いで,裸殻状態の船体流体力およびポッド装備状態の船体流体力から,ポッド推進器の流体力を検討するか,あるいは実験スケジュールの都合により,ポッド推進器単独の状態で流体力の計測を行なうことにより,ポッド推進器の推力および舵力を表す数学モデルを開発するためのデータを得る。 さらに,それまでに得られた流体力試験結果と比較することにより,各パラメータが及ぼす影響の特徴を明らかにするとともに,ポッド推進船の操縦運動を推定するための流体力を表現する数学モデルについて検討を行なう。 加えて,ポッド推進器の流体力の数学モデルについては,通常の船舶とは異なった表現方法が必要だと思われるが,簡易で精度の高いモデルについて検討する。それまでに行なった流体力試験結果と数学モデルによる流体力を比較することにより,裸殻船体とポッド推進器の相互干渉を含んだ状態で船全体としての流体力が十分な精度で表現できているかどうかを検証する予定である。 得られた研究成果を発表の予定である。
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