研究課題/領域番号 |
25420870
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 正広 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70173713)
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研究分担者 |
吉川 孝男 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50380572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 液状化 / 粒状貨物 / 個別要素法 / 実験 |
研究概要 |
粒状貨物を積載した貨物船が航行中に,貨物の液状化が主な原因といみられる転覆・沈没した海難事故が報告されている。本研究では船体動揺時の粒状貨物の液状化現象をシミュレートできる数値解析手法を開発し,粒状貨物の液状化や荷崩れ等の不安定な貨物の挙動を明らかにすることである。 船舶で輸送される粒状体貨物の液状化現象については,ほとんど把握されていないのが実情である。そこで,液状化現象の基本的性状を実験的に観察するために,幅40cm,高さ30cm,奥行き20cmのアクリル砂そう(槽)に粒状体(海砂)を高さ15cm,上面が水平になるように充填し,砂層上面と水面とが一致するように水を入れ液状化再現試験を実施した。 水平加振試験では,砂そうに振幅10cm,周期0.5秒程度の水平振動を手動で与えた。振動回数が多くなると砂層が徐々に沈下たあと砂が全体的に流動的な動きを示した。すなわち液状化が発生し,液状化現象を再現することができた。水平振動により砂が締まろうとして砂粒子間の間隙の体積が減少し間隙水圧が上昇し,砂粒子間摩擦力が減少し液状化が発生したものと推察できる。締まった砂では液状化は起こらなかった。また,粒子が砂より大きい砂礫では粒子間の水の通りが路が大きくなり水の移動が容易となることから粒子間水圧の上昇が起こらないため液状化は確認できなかった。 次に,砂そうを周期0.5程度で繰返し左右に動揺させ砂および水の動きを観察した。水平振動試験同様砂が徐々に締まり液状化現象を起こし,過剰な間隙水が砂表面に浸出し自由水となって運動し,浸出した水が砂そうの運動とともに砂を徐々に片側に移動させることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
砂そう(槽)模型を用いた水平振動実験および繰り返し動揺試験により粒状体の液状化現象を再現することができた。液状化による粒状体貨物の挙動をシミュレーションするために,粒子間接触力のみの個別要素法に①粒子の運動による間隙の変化,②間隙の変化による間隙水圧の発生,③間隙水圧の粒子に対する作用,④間隙水の移動を考慮する必要がある。これらを考慮した個別要素法を構築しプログラム開発中である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き粒状体の液状化の再現とその挙動を実験により把握する。粒状体の粒径分布,圧密度などが異なる試料に対してこれらの特性が液状化に及ぼす影響を実験的に調査する。 液状化による粒状体貨物の挙動をシミュレートする個別要素法プログラムの開発を行い,液状化による粒状体の挙動についてシミュレーションを実施し,シミュレーション結果と実験結果との比較により計算手法,プログラムの妥当性を検証するとともに各種パラメータの設定法について検討する。
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