研究課題/領域番号 |
25420870
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 正広 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70173713)
|
研究分担者 |
吉川 孝男 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50380572)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 粒状貨物 / 液状化 / 個別要素法 |
研究実績の概要 |
動揺下における鉱石粒子の流動化挙動を把握するため,まず砂を搭載した水槽を用いて載荷の流動化現象を実験で確認した。また,動揺下における鉱石の流動化挙動を数値計算を用いて把握する手法を構築するために,これまでに構築した個別要素法(DEM)プログラムに間隙水の移動による水圧変化の影響を考慮できる解析手法の定式化を行なった。 まず,流動化現象の知見を得るため,小規模水槽を用いて流動化が起こる条件について調べた。試験水槽を動揺試験装置し設置し,含水比,動揺角度や動揺周期等の各条件下における砂粒子の実験前後における状態を観察した。その結果,含水比が23%以下では水が飽和状態に達して達しておらず流動化は確認できなかった。含水比が28%程度では動揺前に表面に水が浮き出し,スロッシング現象に近い挙動を示した。含水比が25%程度のときに動揺を開始した直後に砂粒子間の間隙が減少し,表面の砂粒子が左右に動き,最終的に片側へ留まる現象が確認できた。流動化現象が生じた際に,傾斜角が大きいほど動揺後の左右に動いた粒子の傾斜角が度が大きくなる傾向がみられた 砂粒子を2次元円形粒子でモデル化することによる水の流れへの影響を考慮するために,透水係数計測実験とシミュレーション解析を行ない,シミュレーションにおける透水係数の補正係数を求めた。 動揺下における流動化のシミュレーションにおいては,粒径分布一定のもとで解析を実施しため,動揺による粒子の移動が少ない結果となり,粒子の流動化現象の再現までは至らなかったが,動揺開始直後に粒子間の間隙圧が急激に高くなることがわかり,流動化再現実験に近い挙動を示すことが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
間隙水の移動による間隙水圧の変化について定式化を行ない,間隙水圧を考慮していない個別要素法プログラムに間隙水移動による圧力変化を考慮できるようにした。 個別要素法では粒子を2次元円形粒子でモデル化するため実際の砂粒子間を流れる水量とは差異が生じる。そこで透水計測実験のシミュレーションを行ない個別要素法で用いる透水係数を算出するために計測した透水量と2次元個別要素法解析と一致するような等価な透水係数を求めた。 前記プログラムと透水係数を用いて動揺下の流動化シミュレーションを行ない,砂粒子間の間隙圧の変化を再現することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に実施した試験に対応する数値シミュレーションを実施し,シミュレーション結果と試験結果との比較により計算手法,プログラムの妥当性の検証を行なう。その際,粒状体の粒径分布,かさ密度,安息角,摩擦係数,透水係数等の各種パラメータの設定法について検討を行なう。つぎに含有水分値が粒状体の荷動きに及ぼす影響や粒状体が傾斜した状態を保つ傾斜角に及ぼす影響についてシリーズ計算により明らかにする。 実船スケールでの船体動揺状態の数値シミュレーションを実施し,含有水分値の違いにいよる荷動き挙動を明らかにする。なお,船体の傾斜とともに液状化貨物圧が変化するが,これに伴って船殻構造も変形する。これを正確に評価するには,液状化貨物の挙動と船殻構造の変形を連成させた計算をする必要がある。液状化貨物の挙動は個別要素法を用い,船体の変形には有限要素法を用いた船体構造と液状化貨物との連成解析手法を用いて,液状化貨物の荷動き挙動が船体弾性変形や船側に作用する圧力変化に及ぼす影響について考察する。
|