研究課題/領域番号 |
25420874
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
畔津 昭彦 東海大学, 工学部, 教授 (80184175)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 舶用機関 / ディーゼル燃焼 / 噴霧燃焼 / 低酸素燃焼 / 火炎温度 / すす / NOx |
研究概要 |
本研究では,低酸素濃度雰囲気を利用した低環境負荷燃焼法を舶用ディーゼル機関で実現するために,基礎的データを実験的に収集することを目的としている.本年度は本研究の第1年度目として,まず実験計測システムの整備を行うと共に,実験的検討を進めた. 可視化燃焼実験は,エンジンシリンダ内と同等な雰囲気条件を実現できる高温高圧容器内の単純化した場において実施することとし,燃焼系,可視化系,計測系および排ガスの計測システムを整備した.後述のように噴射期間の短期化が重要であることが明らかとなったため,可視化計測の同期の重要性が高まり,撮影時の制御回路の工夫などを行い,改善を進めた.また低輝度火炎時の2色法解析を可能にするために輝度分解能16bitの高速シャッターカメラを導入した. 実験的検討では燃料の噴射期間と雰囲気温度および雰囲気酸素濃度に注目した検討を進め,以下のことを明らかにした.(1)噴射期間を短縮するなどしてコンパクトな火炎を形成して検討したところ,低酸素濃度時のすす低下は,従来考えていたほどには顕著ではなかった.(2)低酸素濃度時のすす低減には噴射期間の短期化が重要であり,長期化するとすす量の増加が顕著となる.(3)雰囲気温度がすす生成に与える影響は酸素濃度により異なる. これらの傾向は燃料噴射の終了時期と燃焼開始時期の関係によるものと解釈された.そこで本年度検討した軽油に対して,セタン化が異なる燃料を検討することが有効であると考えられるので,計画通りに第2年度以降に検討を行うこととした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計測系の整備等,概ね順調に進んでいる.なお本年度予算で購入した高輝度分解能カメラを用いた二色法計測の準備は多少遅れているものの,低輝度火炎が実験の中心対象となる第2年度の後半から第3年度に向けては十分に間に合い,研究遂行上の支障はないものと考えている. また低酸素場では燃焼の遅れから火炎が長炎化し,従来は視野外のすす量を検討していなかったことが問題であったことが明らかになった一方で,短噴射期間による火炎のコンパクト化の重要性も明らかとなった.これらを総合的に評価すると,おおむね順調に進んでいるものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
初期の計画でも燃料セタン価の影響の検討を第2年度目から開始する予定であったが,研究実績に記載したようにその重要性はより高まり,精力的に検討を進める予定である.なお従来は火炎全体のすす量(KL値)のみを検討の対象にしていたが,火炎内の1次元分布からすすの生成・酸化速度を定量化できる可能性が確認できた.当初の予定からは少しずれるものの,学術的には有用な検討であるため,合わせて検討を進めたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では本年度の終盤にセタン価を変化させるための燃料を購入し,予備的な実験まで行う予定であった.しかしセタン価変更についてはその重要性から慎重な燃料選定が必要と判断されたために,本年度は軽油を燃料とした実験を集中的に行うこととし,燃料の購入は第2年度に回したために残額が生じたものである. 理由の欄に記入した通りに,燃料の選定を慎重に進めたうえで,燃料の購入費用に充当する予定である.
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