研究課題/領域番号 |
25420875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
永岩 健一郎 広島商船高等専門学校, 流通情報工学科, 教授 (90189100)
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研究分担者 |
田中 康仁 流通科学大学, 総合政策学部, 准教授 (50321485)
新谷 浩一 東海大学, 海洋学部, 准教授 (60290798)
松尾 俊彦 大阪商業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80157263)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内航フィーダー / モーダルシフト / 海外フィーダー / 国際戦略港湾 |
研究概要 |
平成25年度は、まず内航フィーダー輸送の拡大の検証とヒアリング調査を中心に研究活動を行った。そして、定期船社や代表的な荷主へのヒアリングを行い、海外フィーダー船及び国内フィーダー船が利用される要因と航路選択(港湾選択)要因について、その項目の抽出を試みた。その結果、内航輸送拡大については、内航フィーダー輸送のシェア拡大を検討する場合には以下の方策が考えられる。①陸上輸送されているコンテナ貨物を海上輸送へシフトする。②国際コンテナ戦略港湾政策の目標となっている地方港から海外へトランシップされているコンテナを、内航フィーダー船により戦略港湾へシフトする。③内国貨物を内航フィーダー市場に取り込む。 ①については、距離ネットワークが作成できている物流センサスデータを用いて、陸上と海上の2項ロジットモデルを作成した。構築したモデルから、海上の選択確率を向上させ内航フィーダー活用を促進させる条件は、高速道路の料金割引施策を見直すことや海上輸送コスト(ターミナル料金を含む)の低減であること、輸送コスト面の負担増にならないような海上時間の短縮が可能であれば内航フィーダーの利用を促進することになることを明らかにした。 ②については、港湾政策との関係も含めて考察を行った。特に、西日本と神戸港および韓国・釜山港との関連を中心に分析を行い、今後の内航フィーダー輸送量が拡大するかどうか、また、国際コンテナ戦略港湾政策に寄与できるかどうかを検討した。釜山港でトランシップされているコンテナは年間120万TEU程度の市場規模があり、神戸港に注目すれば、西日本と釜山港を結ぶ約17万TEUと陸送で神戸港まで輸送されているトランシップコンテナ(約11万TEU)が内航フィーダーで取り扱うことができる可能性を持っていることを明らかにした。 ③も重要なテーマであるが今後の課題とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内航フィーダー輸送を集約する港の配置問題と、コンテナ輸送の種別を意識して、どのような経路(陸路、コンテナ船、フェリー、RORO船など)を選択するかについては研究成果を論文にまとめた。また、海外フィーダーの戦略港湾へのシフトについては、西日本における運賃と距離の相関や港湾サービスと取扱量の関係を意識して、貨物の違いなどによって、どのような関係になっているかという視点についての研究成果を論文にまとめた。更に、折りたたみコンテナの国内普及という視点から同様の検討についても報告を行った。 しかしながら、研究分担者の3名全員の所属が変わり、新しい勤務地における講義や公務に忙殺されたため、本研究に従事する時間が少なくなったと考えられ研究成果はやや低調と考えられる。本年度は本来のペースでの研究が進むものと確信している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施していない日本海側と北海道の船社・荷主企業へのヒアリングを行い、前年度に行った神戸と東京のヒアリングとの違いなどを検討した上、さらに海上ルート選択要因の絞り込みを行う。そして、海上ルートを含めた国内フィーダー輸送の最適ネットワークおよび基幹航路の集配コンテナ港の配置モデルの構築を行う。その際に、おそらく選択行動は階層的な意思決定を行っていると思われるので、昨年度の検討を踏まえ、コストとサービスレベルを考慮したより現実的なモデルへと発展させたい。 また、内航フィーダー船を大型化した場合の港湾の集約も視野に入れた最適航路ルートネットワーク問題の検討を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者の3名全員の所属が変わり、新しい勤務地における講義や公務に忙殺されたため、本研究に従事する時間がやや少なくなってしまった。所属地が大きく変わったため当初のヒアリング出張割当も再考しなければならず、計画通りに予算を消化できなかった。 昨年度に統計解析用ソフトを購入したため、本年度で数理計画ソフトを購入する予定である。その他、備品等は計画しておらず、ヒアリング調査、研究打ち合わせと学会報告用の旅費が主な使途であり、昨年度のヒアリング調査の未使用分は本年度消化する予定であり、残りは消耗品程度の当初の通りの使用計画となる。
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