本研究は,災害時に情報の空白地帯として問題視されている離島や沿岸域と,その周辺海域に主眼を置いている.具体的には,災害時,離島を含めた沿岸域の住民,および,小型船舶操縦者の情報孤立を防ぐため,免許不要な簡易AISと無線LANを用いて,安心安全情報を双方向で送受信することで,防災・減災に役立つ情報の共有可能なネットワークシステムを提案し,実証実験に基づいた計算機シミュレーションによりその評価を行う. 平成26年度に試作した取り扱う安心安全情報を携帯端末へ地図表記するためのプログラムを継続して開発した.また,小型船舶は小型であるがゆえに海象や気象の影響を受けやすいことも計測により明らかにした.そして,簡易AISは動的情報の発信間隔が30秒と定められていること,通信方式の仕様により,情報到達保証がないことを考慮したシステム提案が前提であることも,実際の簡易AIS記録データを元にした解析により明らかにすることができた.加えて,安全安心情報の入力・出力の機器として,携帯端末(タブレット)を利用し地図上に情報を視覚化することの情報の扱いやすさについても,地元漁業関係者や定期船運航管理者へのアンケート調査結果より確認を行うことができた.
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