研究課題
昨年度までの研究では無限大で深さのみを変えた液体金属面でのレーザー照射時の振動について振動減衰時間を、水銀を用いた模擬実験で調べてきた。本年度は前年度より大きい液面で同様の実験を行い、境界からの反射が測定に影響しない状態で照射領域の振動の減衰を調べるとともに、液体境界面での反射率とその低減についての実験をするとともに、壁を垂直にする場合と、傾斜を設けた場合の表面波の反射率の違いを実験で測定した。また、共同研究者にりレーザー照射後の表面波の伝搬、減衰に関する数値シミュレーションを行った。液面を大きくした結果、レーザー照射場所での液面振動は、レーザーの照射フルーエンスが損傷閾値の2/3程度でも100ms程度で減衰していることが分かった。これは良い結果であり、液面界面からの反射を抑えれば液体金属ミラーが高フルーエンスで使用可能であることを示している。一方、液面境界での反射率の低減は液体金属と親和性の高い材料を用いて20度の角度で深さを連続的に浅くすることにより、大幅に低下させることができることが実験的に確認された。表面波の波長の短い成分は1/5程度に減衰し、長い成分は4/5程度に減衰した。京都大学の共同研究者が行っている数値シミュレーションとも4月中に比較するための打ち合わせを実施する予定である。これらのデータを元に当初計画に掲げられている液体金属ミラーの適用可能範囲の高精度化を行う。現時点での適用可能性は、液体の深さが0.3mm以下の場合、損傷閾値(160mJ/cn2を想定)の1/3から2/3で使用可能で、実用炉クラスの追加熱ビームの最終光学系に使用可能であることが分かった。その寿命については中性子の重照射データが不足しているので、引き続き検討するものとする。
すべて 2016
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Fusion Science and Technology
巻: 65 ページ: 印刷中