研究課題/領域番号 |
25420888
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
江角 直道 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (20321432)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プラズマ / 核融合 / 境界領域プラズマ / イオン温度 / イオンセンシティブプローブ / レーザー誘起蛍光法 |
研究概要 |
磁場閉じ込め核融合プラズマの境界領域プラズマにおける熱の伝わり方やプラズマの動き方を的確に制御するためには、イオンの挙動、特にイオン温度を正確に把握することが重要である。本研究では、境界領域プラズマを模擬した直線型プラズマ発生装置を用いて、イオン温度を測定可能なプローブであるイオンセンシティブプローブ (ISP) とイオン速度分布関数を測定可能なレーザー誘起蛍光 (LIF) 法の同時計測を行い、イオン温度の精密測定を実現することを目的としている。 本研究で用いるレーザー誘起蛍光計測は外部共振器型可変波長半導体レーザーを励起光としてプラズマ軸(磁力線方向)に平行あるいは垂直に入射させ、その入射に伴うプラズマイオンからの蛍光を入射光に対して垂直に配置した狭帯域干渉フィルタを取付けた光電子増倍管にて観測する。本年度は、波長可変ダイオードレーザーシステムを新たに導入し、既設の直線型プラズマ発生装置において、プラズマ軸に垂直入射配位のレーザー誘起蛍光計測システムの整備を行った。ISPに関してはプローブヘッドを作製し、径方向プローブ掃引装置に取付け、ISP電流-電圧特性のプラズマ径方向分布を計測し、磁化アルゴンプラズマ中のイオン温度の評価を行った。また、ISPに流入するイオンに関して、ISPの形状や電界の影響などについて議論した。なお、LIF計測に関しては、助成額に合わせて当初計画していた機器の仕様を修正した。そのため光学系の調整に時間を要したものの、次年度の系統的な実験を円滑に行えるシステムを構築することできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ISPプローブ計測は順調に行えたものの、LIF計測システムについては、助成額に合わせて当初導入を計画していたレーザ―機器の仕様を修正して、波長可変レーザ―の基本システムのみとし、光学系の調整は自前で行うこととした。そのため光学系構築に必要な物品の調達や調整に時間を要する結果となり、当初計画していたISPとLIFによるイオン温度同時計測は年度内での実施には至らなかった。年度末の段階でほぼ光学系の方の準備も整い、次年度の系統的な実験に向けたシステムは構築できているので、遅延分については平成26年度の計画と合わせて実施することで、計画に沿った研究を遂行可能である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に構築した径方向LIF計測システムとISPによるイオン温度同時計測により、ISP計測によるイオン温度の磁場に対する異方性の影響を詳細に解析し、温度の校正を行う。また、境界領域プラズマにおけるイオンの径方向輸送に関して議論を深めるため、系統的にプラズマの状態を変化させてイオン温度計測を行うとともに、軸方向LIF計測システムの整備を進め、二次元的な輸送の議論へと展開していく。研究成果は、21th PSI会議、核融合エネルギー連合講演会、電気学会、PLASMA2014等で発表し、議論する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、消耗品経費(純ガス等)として留保していたものであったが、当該年度内には支出不要であったため、助成金の有効利用のため、次年度に使用することとした。 次年度経費と合わせて、消耗品経費等(純ガス等)として使用予定である。
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