研究課題/領域番号 |
25420890
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
鈴木 康浩 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (20397558)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MHD平衡 / 外部共鳴磁場摂動 / プラズマ回転 / 非等方熱輸送 |
研究実績の概要 |
本年度は平成26年度に引き続き、HINTコードにプラズマ回転を導入するための改良を行った。 H26年度に行った改良を元に、現実的な磁場配位でのトカマクプラズマについてトロイダル回転を含む3次元電磁流体力学(Magnetohydrodynamics: MHD)平衡解析を行った。圧力分布とトロイダル電流密度はパラボラを仮定し、円形トカマクに共鳴磁場摂動(RMP)を重畳したケースを考察した。平成26年度では、剛体回転ではなく速度シアを持つトロイダル回転分布を入力し、磁気島などに回転が与える結果を考察した。その結果、トロイダル回転が存在する場合、磁気島構造が縮小することが確認された。しかし、この結果は、磁力線のポワンカレ図から判断しているので、RMPの磁場成分の定量的評価が課題である。 一方、もう一つの研究課題である乱れた磁力線領域での非等方熱輸送の考察のために、HINTコードの圧力緩和スキームの改良に引き続き取り組んだ。磁力線方向と磁力線にす直な方向それぞれに現実的な熱拡散係数を設定する必要があるが、磁力線方向の大きい拡散により十分な数値的制度を担保することが難しい。そこで、非等方熱輸送方程式を陰的に解くための数値スキームの開発に取り組んだ。陰的スキームが完成すれば、直接、定常解を求めることが可能になるが、大きな行列を解く必要があるために、数値的に難しい。まずは、垂直方向の輸送のみを考えた単純な拡散方程式を解くためのスキームを開発し、基本的な数値実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、速度シアを持つプラズマ回転が共鳴磁場摂動(RMP)に与える影響を考察し、プラズマ回転がRMPに影響することを確認した。これは、理論予測を数値シミュレーションにより再現した点で重要な結果である。 一方、乱れた磁力線領域での非等方熱輸送のモデル化の進展については、数値精度を向上させるために陰的数値スキームの開発に着手したが、完成には至っていない。単純な拡散型輸送方程式の計算からはじめ、磁力線方向へ大きな熱輸送係数を持つ現実的なケースを計算できるようスキームを拡張する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は次の2点に注力する。 まず、プラズマ回転のRMPへの影響は、現実的なセパラトリックス配位へ拡張することをめざす。セパラトリックス配位は、周辺の磁気シアが大きくなるためストカスティックな磁力線構造が発現しやすい。 一方、乱れた磁力線領域での非等方熱輸送のモデル化の進展については、陰的数値スキーム開発の完了を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
RAIDディスクアレイの購入を計画しているが、部品価格が高止まりしているため、無理に購入すると価格が実勢価格より割高になってしまうので、購入を断念した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に改めて購入する予定である。
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