研究課題
本年度は平成28年度に引き続き、HINTコードにプラズマ回転を導入するための改良と乱れた磁力線領域での非等方熱輸送の考察を行った。H28年度までに行った改良を元に、現実的な磁場配位でのトカマクプラズマについてトロイダル回転を含む3次元電磁流体力学(Magnetohydrodynamics: MHD)平衡解析を行った。圧力分布とトロイダル電流密度はパラボラを仮定し、D型断面を持つ非円形トカマクに共鳴磁場摂動(RMP)を重畳したケースを考察した。その結果、プラズマの形状の変形効果により、円形断面に比べて磁気島幅の変化が小さいが、自発的拡大・縮小が現れることを確認した。また、プラズマ回転の大きさと粘性のバランスにも注目し、プラズマ回転のトルクがある閾値を超えると、磁気島がポロイダル方向へ回転し、自発的縮小が合わられることが分かった。これは、理論予測と一致しており、現実に発生することが数値シミュレーションで確認された。一方、もう一つの研究課題である乱れた磁力線領域での非等方熱輸送の考察のために、HINTコードの圧力緩和スキームの改良に引き続き取り組んだ。これまで、磁力線に平行方向と垂直方向の圧力勾配を有限差分法により求めていたが、磁力線に平行方向の圧力勾配の計算方法を磁力線追跡法に変更した。このことにより、磁力線に平行方向の圧力勾配の計算精度が向上した。また、非等方熱輸送方程式を陰的に解くための数値スキームの開発は、3次元で効率よく行列を解くことができず、陽的スキームに変更した。陽的スキームで実装した圧力緩和ルーチンにより乱れた磁力線領域での非等方熱輸送を考察した結果、乱れた磁力線領域中に存在するKAM面が熱輸送障壁として働き、乱れた磁力線でも有限の温度勾配を維持できることが分かった。
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Nuclear Fusion
巻: 60 ページ: 045003
10.1088/1361-6587/aaaa49