研究課題/領域番号 |
25420891
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
西村 清彦 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (00180638)
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研究分担者 |
田中 将裕 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00435520)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高周波放電 / 大気圧放電 / 高周波整合回路 / ネットワークアナライザー / 除染 |
研究実績の概要 |
平成25年度は、放電容器、放電電極を設計・製作し、既存の高周波電源、高周波整合器を利用して大気圧高周波グロー放電用の装置を組み上げた。同時に、ガス導入システム、分光計測用の分光器の準備も進めた。既存の整合器を用いて整合をとることにより、150Wの高周波電力を95%以上の高率で入射することができた。しかしながら、わずかに回路条件や放電条件が変わるだけで、整合が大きくずれてしまい、再び整合条件を見つけるのにかなりの時間を要した。そこで、平成26年度に、回路定数を測定できるネットワークアナライザーを購入した。ネットワークアナライザーを用いることにより、整合器調整による放電回路定数の変化をリアルタイムで知ることができ、短時間で回路および整合器を調整することができるようになった。150Wの電力を入射して大気圧放電実験を開始したところ、プラズマが点火前に印可電圧が電極の絶縁部分に集中して絶縁破壊を起こし、絶縁部が破損した。そこで、電極の絶縁部分を耐電圧が高く放熱性能の良い大電流入力用のものに交換し、システム全体を再設計して組み立てた。その結果、高周波電力を長時間入射しても、絶縁破壊を起こすことはなくなった。並行して、ガス導入システム、ガス排気システム、ガス分析システム、分光計測システムの準備を進めている。 平成27年には除染実験を進める計画であったが、8月4日に発生した研究所施設内での火災事故のため、研究活動が2か月休止を余儀なくされたこと、事後処理のための資料作成、体調不良、これらの理由のため平成27年度後半に予定していた実験スケジュールの大半を実施することができず、平成28年度に繰り越さざるを得なくなった。 平成28年度は、前年度に予定していた除染に係る実験を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年度までは、装置の絶縁破壊防止のための設計変更により、若干の遅れであったが、平成27年8月4日に研究所施設内で火災事故が発生したことにより研究活動が2か月休止を余儀なくされたこと、事後処理、事故検証のための資料作成、体調不良、これらの理由のため平成27年度後半に予定していた実験スケジュールの大半を実施することができなかった。平成28年度には、前年度に計画していた実験スケジュールをこなせる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
均一な高周波放電を点けて、高分解能分光計測機を用いて、分光計測による発光スペクトルを測定し、振動温度や回転温度(近似的にガス温度に相当する)、電子温度の診断、反応粒子種の道程を行い、反応基礎課程解明の準備を進める。除染対象となる水素を吸着させた資料を作成し、装置に導入して高周波グロー放電による除染を行い、分光計測により反応過程の解明を進める。また、分光計測により水素同位体比とその時間発展を測定し、水素同位体挙動の診断手法を確立していく。分光計測と同時に、計測の効率を上げるために、ガスサンプラーによるガス分析も並行して行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定通りの実験を行うことができなかったことと、手術による入院と加療のため、学会や国際会議への出席を取り止めたため、旅費に使用残が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に使用するガス等の消耗品と、学会への旅費に使用する予定。
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