研究課題/領域番号 |
25420892
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
菱沼 良光 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00322529)
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研究分担者 |
山田 修一 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50249968)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MgB2 / 低放射化 / 核融合 / 加速器 / 導体設計 / 複合材料 |
研究実績の概要 |
核融合中性子照射環境を許容する低放射化MgB2線材の導体化に向けたMgB2素線の最適化について引き続き検討した。市販されているホウ素-11同位体粉末の粒径は、アモルファス状のホウ素よりも圧倒的に大きい。ホウ素-11同位体粉末を原料とした場合では、粗い粒径がMgB2超伝導線材の微細組織や超伝導特性に大きな影響を与える。つまり、ホウ素-11同位体粉末の微粒化が重要なプロセスの1つである。そこで、高圧Ar(2MPa)を用いたジェットミリングと気流制御した分級手法を組み合わせた微粒化プロセスを実施した。新しい微粒化プロセスによって、1ミクロン以下の粒径を持つホウ素粉末だけを抽出することが可能であること分かった。この1ミクロン以下に粒径制御されたホウ素粉末を用いたMgB2線材を作製し、その一部を用いた超伝導特性及び微細組織評価を行った。 透過電子顕微鏡を用いた微細組織観察の結果、未反応ホウ素が大幅に減少し、MgB2超伝導相の体積分率が増加する傾向が見られた。さらに、超伝導特性においてはSQUIDを用いて測定した磁化履歴曲線の改善が見られた。以上の結果から、1ミクロン以下に粒径制御されたホウ素粉末はMgB2素線の原料として有効であることが示唆された。今後は、1ミクロン以下に粒径制御されたホウ素-11同位体粉末を用いた長尺線加工を行い、導体製作を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高圧ジェットミリングと分級を組み合わせた新しい微粒化プロセスを見出すことができ、MgB2線材の超伝導特性の向上を明らかにした。この特性向上によって、当初の導体設計に対して大きな裕度を得ることが出来た。さらに、MgB2長尺線材加工に向けて、新しい微粒化プロセスを経由した1ミクロン以下に粒径制御されたホウ素粉末の準備を進めている。また、導体設計の因子になる機械歪印加による臨界電流特性の変化を測定するプロ-ブの調整も同時に進めた。
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今後の研究の推進方策 |
低放射化MgB2導体の製作に向けて、1ミクロン以下に粒径制御されたホウ素粉末を用いたMgB2素線の長尺加工を進める。さらに、導体設計に重要な因子になる引張・圧縮・曲げの各応力で発生する歪による臨界電流特性の変化を精密に評価して、導体設計にフィ-ドバックして、導体試作を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ホウ素-11同位体の購入先が、トルコやアメリカとなっており、為替の円安化によって、当初の原料費予算の調整がつかなったためと平成26年度に、MgB2超伝導線材の長尺加工を、外部委託する予定で、各メ-カ-と打ち合わせを進めたが、委託納期や見積の調整がつかなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、科研費予算と今年度実行予算との調整を行い、早急に委託メ-カ-を選定し、長尺線材加工を行う予定である。
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