研究課題/領域番号 |
25420895
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤田 隆明 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70354602)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電流ホール / NBCD / 不純物輸送 / 輸送シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、電流ホールの平衡モデルを拡張し、定常状態及び時間発展の観点からその実現可能性を調べることを目的とする。平成25年度に、電流ホールへの電子サイクロトロン波電流駆動についてのJT-60実験データのシミュレーションを行い、平成26年度には、中性粒子ビーム電流駆動(NBCD)についてのJT-60実験データの解析の準備のためNBCD解析コードの整備を行い、高速に精度よくNB駆動電流を計算できる方法を開発した。 平成27年度には、「高エネルギー粒子軌道効果を含む高q(0)平衡モデル」の構築を目的として、磁気面からはずれた軌道を描く高エネルギー粒子が担う電流を考慮した平衡計算ができる電磁流体平衡計算コードの開発を計画した。高エネルギー粒子の正準角運動量の保存を用いて、電磁流体平衡コードにおいて高エネルギー粒子軌道を求めるロジックを検討した。 電流ホール平衡プラズマは一般に強い内部輸送障壁を有し高価数の不純物イオンの蓄積が懸念されているため、不純物イオンの輸送研究を進めた。平成26年度には名古屋大学の統合輸送コードTOTALに高価数不純物イオンの輸送モデルを組み込み、JT-60のHモードプラズマにおけるタングステンイオンの蓄積のプラズマ回転依存性の傾向をある程度再現できることを示したが、径電場によるピンチについてはモデルの適用範囲を越えていたため評価できなかった。平成27年度には、径電場によるピンチモデルの拡張や不純物イオンに対する遠心力及びコリオリ力の効果を導入するなどの輸送モデルの改良を行ない、JT-60の実験条件におけるピンチ速度を評価し、従来のピンチモデルより大きい値となることを示した(第25回International Toki Conference及びプラズマ核融合学会第32回年会で発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
不純物イオンの輸送研究については進展が見られた。磁気面からはずれた軌道を描く高エネルギー粒子が担う電流を考慮した平衡計算については、検討段階に留まり完成に至らなかった。高価数不純物イオンのピンチモデルの改良の検討に予定以上に時間がかかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き「高エネルギー粒子軌道効果を含む高q(0)平衡モデル」の構築を最優先課題として取り組む。電磁流体平衡計算コードに、高エネルギー粒子の軌道計算ルーチンを組み込み、磁気面からはずれた軌道を描く高エネルギー粒子が担う電流を考慮した平衡計算ができるような改造を行う。不純物イオンの輸送研究については、改良したピンチモデルをTOTALコードに組み込み、JT-60のHモードプラズマにおけるタングステンイオンの輸送解析を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進展の遅れにより、研究機関を1年延長した。延長した期間における成果発表や延長した期間に使用するパソコンの購入に充当するため。
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次年度使用額の使用計画 |
国内学会発表のための出張を3回程度行ない、パソコン1台を購入する。
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