研究課題
原型炉プラズマの核融合出力はITERの3-6倍であり、一方、ダイバータでは主プラズマから排出される大きな熱流をITERと同程度まで低減することが要求される。逆方向の電流を流すダイバータコイルを追加し、ダイバータで磁場ピッチを小さく、磁力線長を大きくする「先進ダイバータ」が提案され、多くの小・中型トカマクで実験が開始されている。原型炉設計のため具体的な設計案とその物理・工学検討を行った。(1)先進ダイバータ設計の物理・工学課題を明らかにし、開発要素を示す:先進ダイバータに必要な複数のダイバータコイルの電流を通常レベルにするには、トロイダルコイルの内側にインターリンクコイルとして設置する必要がある。超伝導コイルの線材候補と製作手法概念を検討した。超伝導材Nb3Alの商用化に向けた開発、トロイダルコイル内での巻き方と支持設計が開発要素と考えられる。主な先進ダイバータ磁場形状の中で、雪結晶型ダイバータ(SFD)よりも上記の観点で有利と判断したスーパーX型ダイバータ(SXD)について、インターリンクコイルの本数と設置位置を検討すると共に、通常と同サイズのダイバータ形状を提案した。プラズマ電流の立ち上げ・下げ時においてストライク点をダイバータ板上に維持する平衡制御を提案した。(2)原型炉の熱流条件下でシミュレーションを実施:SONICコードを使用したダイバータプラズマのシミュレーションにより、効率的に非接触プラズマを生成するSXDの形状を検討した。原型炉設計の変更(核融合出力、主半径が3GW,5.6mから1.5GW,8.2m程度へ)に伴い、両者に対応するSXDを検討した。後者では、主プラズマからの放出パワー275MW中80%を放射損失割合とした場合において通常のダイバータと比較した結果、SXDではダイバータ板全域で非接触プラズマとなる「フルデタッチ」状態を効果的に生成可能と考えられる。
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Journal of Nuclear Materials
巻: 463 ページ: 1238 1242
http://dx.doi.org/10.1016/j.jnucmat.2015.01.068
http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/search/servlet/interSearch