研究課題/領域番号 |
25420903
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山脇 道夫 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 特命教授 (30011076)
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研究分担者 |
有田 裕二 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (50262879)
山本 琢也 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 客員教授 (50212296)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウラン合金 / 金属間化合物 / 水素吸蔵材料 / 第一原理計算 / 水素吸収 / 希土類金属 |
研究概要 |
1. UNiAl合金試料を成分金属のアーク熔解により作成したボタンを粉砕して作製し、その水素吸蔵試験を既存の装置を用いて実施した。288~473Kの範囲内の5点の温度で、水素吸蔵速度を圧力変化測定から求めた。粉末試料、バルク試料とも水素吸収量の約半分は、最初の2~3分間で吸収が完了することが分かった。温度依存性は、異常値を除いた評価により、活性化エネルギー1.3kJ/molを得たが、LaNiAlの文献値に近い値で妥当と判断した。 2.(UNiAl)Hxで、xを0~6の範囲で変化させて計算を行った。第一原理計算は密度関数理論(DFT)に基づくVASPコードを用いて実施した。UNiAl水素化物には、水素含有量の多寡に応じてA型とB型の2種の結晶型があり、それぞれについて計算を行った。計算の結果、エンタルピー変化を水素含有量の関数として評価したところ、A型からB型への変化が実験結果と一致することが判明した。さらに水素含有量に応じての格子定数の変化の推定結果が実験結果とよく一致する傾向を示した。これらにより、本計算手法の有効性が示された。 3.UNiAl以外の金属間化合物として、LaNiAlに注目して、実験と計算を実施した。700Cから、室温まで温度を下げつつ実験したところ、順次水素の吸収が進むことを確認した。計算によっては、UNiAlよりも水素化物の凝集エネルギーが高いことが示された。本研究の手法は、水素吸収能の高い化合物を予測する手法として有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた研究項目は、UNiAl金属間化合物については、ほぼ予定通り達成した。しかし、UNiAl以外の金属間化合物については、当初予定していたものと異なるLa系化合物についての研究を先行させることになった。そのほうがより広い視野から水素吸蔵性の高い化合物の探求が可能になり、水素吸蔵性の高い化合物開発に向けた指針の構築に有益と考えられたためであった。実際そのような成果は挙げられたといえる。このような方針の変更があったことを考慮して、おおむね順調に進展しているという達成度であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
UNiAl以外の、UPdInまたはURuAlについて水素吸蔵性を実験と計算により調べて、水素吸収の機構のさらなる解明を行う。また、X線および中性子線による結晶構造解析を行って、水素の吸収サイトや、格子の変形を調べ、第一原理計算と比較し、水素吸収能予測精度の向上を図る。それらの結果を総合して、水素吸収能の高いウラン金属間化合物の開発に向けた指針の構築を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
ソフトウェア(第一原理計算コードVASP)は、最新版の発売を待って購入するほうが良いと判断したため、第2年度に購入することとした。 第2年度早々に購入できる見込みなので、研究に支障は生じない。
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