研究課題
使用済燃料を溶解した後、主成分であるウランをすべての工程に先立って分離回収することは、燃料処理過程の簡素化や廃棄物の減量に貢献する。ところで申請者らは、放射線耐性の強い無機水和物溶融体(塩化カルシウム六水和物)中に溶解したウラニルイオンが、常温で電解によって二酸化ウランとして析出・回収できることを見出している。しかし、固体の電極と溶液の界面の面積は、溶液の体積に比べて小さいので、固体電極を用いるとき、析出・回収の効率を向上させることが困難である。本研究では固体電極の代わりに電解質を含む有機溶媒を電極として用いて、水溶液と有機溶液の界面でウランイオンを還元して電析させることを目指した。本年度は、デカメチルフェロセンを還元体として含む有機相とウランイオン(IV)を含む水溶液界面での酸化還元反応について電気化学的に調査し、ウランイオンが界面で還元されることを確認した。界面での酸化還元反応は非可逆的で極めて遅い反応であることが分かった。ウランイオンの還元のされやすさは、水溶液の酸性度に依存し、酸性度が高いほどウラン(IV)への還元が生じやすく、U4+を生成することが分かった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件)
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