研究課題/領域番号 |
25420909
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
守田 幸路 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40311849)
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研究分担者 |
松元 達也 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90325514)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高速炉 / 炉心損傷事故 / 燃料デブリベッド / 崩壊熱除去 / セルフ・レベリング / 実験データベース / 混相流解析コード |
研究実績の概要 |
原子炉の炉心損傷事故において、冷却材の沸騰によって駆動される燃料デブリベッドの運動挙動は、その冷却特性及び臨界特性がベッド厚さに依存することから、事故後長期の崩壊熱除去過程を支配する要因として重要である。本研究では、燃料デブリベッドの運動挙動について、実機条件の模擬性に優れた実験データベースを整備するとともに、実験データベースに基づく固気液混相熱流動解析コードの検証を実施し、実機条件に対するコード適用性の向上を図る。 燃料デブリ運動挙動試験については、これまで模擬デブリに特性の同じ単一種類の均質粒子を用いていたが、実機条件の模擬性を向上するため、異なった特性(粒子径、粒子密度)を有する粒子の混合物を用いた試験を実施し、実機条件に近い気相流量において2種混合粒子ベッドの基本的なセルフ・レベリング特性について把握した。この試験結果をもとに、平成25年度までに均質粒子に対する実験データベースとして整備したセルフ・レベリングの発達を予測する実験相関式の適用性を検証するとともに、粒子の球形度やベッド内の空隙率等を合わせて考慮することで混合粒子へ適用可能な相関式としての拡張性について検討した。 また、デブリベッドの運動挙動を評価するための固気液混相熱流動解析コードについて、本研究で整備する実験データベースに基づいて検証を行うため、大規模計算のための検討を行った。本コードは、流体計算に格子法(多流体モデル)、デブリ粒子運動の計算に粒子法(個別要素法)を用いる格子ー粒子連成計算法に基づいているが、取り扱う粒子数が増えると粒子法計算の負荷が過度に大きくなり、実用的な計算が困難になる。そこで、粒子数の多い大規模計算のため、分散メモリ型並列計算機で標準的に用いられるMPIを用いた並列計算手法によって計算効率向上を図るためのコード整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り模擬デブリに混合粒子を用いた燃料ブリ運動挙動試験を実施し、実機模擬性に優れた試験条件下での固体粒子ベッドのセルフ・レベリング挙動について基礎的な試験データを得るとともに、セルフ・レベリングの発達を予測する実験相関式の適用性について知見を得た。また、デブリベッドの運動挙動を評価するための固気液混相熱流動解析コードについて、本研究で整備する実験データベースに基づいた検証解析を実施する上で必要となる大規模計算時の計算効率向上を図るためのコード整備を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
燃料デブリ運動挙動試験については、平成26年度までに実施した試験結果に基づき、模擬デブリとして異なった特性を有する粒子の混合物を用いた実験を試験条件を拡張して引き続き実施し、混合デブリのセルフ・レベリング特性について総合的な知見を得るとともに、実機条件の模擬性に優れた実験データベースとして整備する。また、デブリベッドの運動挙動を評価するための固気液混相熱流動解析コードについて、本研究で整備する実験データベースに基づいた総合的な検証を行う。これにより解析コードの実機条件への適用性向上を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
JRのダイヤ改正(3月)に伴う料金変更によって3月の学会参加のために支出予定だった旅費に差額が発生したため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した助成金の物品費に合算して使用予定
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