研究課題
研究期間中に代表者が所属を変更したため、新たな研究環境における実験装置の整備を行った。新たに所属機関となった大阪大学レーザーエネルギー学研究センターでは、世界最高出力のペタワットレーザーLFEXが稼働を開始し、実験に供用され始めていたが、代表者の研究テーマであるレーザーイオン加速については、イオンのエネルギー分析を行う装置は使用されていなかったため、新たな装置を1から開発することとなった。そこで、代表者が中心となり、イオンの核種とエネルギーを分析できるトムソンパラボラ分析装置を設計・開発し、LFEXレーザーによるイオン加速においてエネルギー分析を行った。その結果、50MeVを超える陽子加速を分析することに成功し、イオンエネルギー分析手法を確立することができた。また、陽子加速機構において、レーザーパルス幅を伸長することで電子温度が急激に上昇する「電子異常加熱」を発見し、これに基づいた陽子加速エネルギーの新しいスケーリング則を確立することができた。このスケーリング則によれば、従来の実験値より1桁以上低い集光強度でも、同程度のエネルギーの陽子を加速できることになり、核融合高速点火や、レーザー駆動中性子源などの応用に向けて有益な結果である。また、大阪大学においてイオンエネルギー分析手法の基盤が整ったことにより、レーザー加速イオンの核スピン偏極分析等、より高度な研究を進展することが可能になったといえる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Plasma Physics and Controlled Fusion
巻: 58 ページ: 025003
10.1088/0741-3335/58/2/025003
Physics of Plasmas
巻: 22 ページ: 063108
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