研究課題/領域番号 |
25420915
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
小倉 浩一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (30354971)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高強度レーザー / 粒子線 / 中性子 / 核反応 |
研究概要 |
レーザー駆動プロトン誘起中性子を検出するための中性子検出器製作のため、既存の部品を用いてテスト用の検出器を構築し、レーザー駆動中性子を検出する試験を行った。本研究課題の重要な目標の一つはレーザー駆動プロトン誘起中性子検出器の構築であり、検出器構築に必要な情報を得ることが本研究遂行のために重要である。具体的には、レーザー駆動陽子線発生実験において陽子線検出に使用しているCR39固体飛跡検出器は、炭素・酸素を構成元素としており、レーザー駆動プロトンとの核反応によって中性子を発生する。このCR39を中性子発生模擬中性子変換材とみなし、発生する中性子の検出を試みた。得られたデータをモンテカルロ粒子輸送計算コードPHITSのシミュレーション結果と比較検討した。その結果、本実験では中性子を検出できているが、レーザープラズマ生成時に発生する高速電子に起因するガンマ線による光核反応(γ、n)反応による中性子を主として検出している可能性が高いことがわかった。また、CR39固体飛跡検出器から発生する陽子線起因の中性子数が少なく、ほとんど検出されていないと推測された。PHITSコードの計算結果から、実際の実験で使用するリチウム中性子変換材の場合はCR39模擬中性子変換材の100倍の中性子数の発生が期待されることが分かったが、(γ、n)反応を低減することがレーザー駆動プロト誘起中性子の検出には重要であることがわかた。また、計算コードによるシミュレーションの際に、本来見られるべき単色中性子発生に起因する特徴的なスペクトルが計算上現れなかったが、使用している計算モデル(カスケードモデル)ではこの構造を再現できないためと考えられる。本年度は、検出器の構築、実験方法、解析にあたって必要なことを明らかにすることができたので大変意義があったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中性子検出システムの構築に必要な知見を平成25年度に得ることができた。さらに、予定していた物品のほとんどを購入できており順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
シンチレータ等を購入し、レーザー駆動プロトン誘起中性子検出システムを構築する。リチウムを用いて中性子を発生した場合に期待している中性子エネルギースペクトルが得られることをモンテカルロ粒子輸送計算コードを用いてシミュレーションする。この際、モデル計算による反応断面積では無く、実験値を使用する。平成26年度以降は中性子変換材としてリチウムを含んだ材質(例えば、LiF)を使用した実験を行う。(γ,n)反応起因の中性子を減少させるために、軽元素材を使用して高速電子を遮蔽する。
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次年度の研究費の使用計画 |
シンチレータ、LiF板の購入を次年度としたこと。電源の価格が予定より安いものでも研究実施が可能と判ったので予定を変更したこと。海外での国際会議参加の代わりに、国内で行われる国際会議への参加に変更しこと。以上が理由として挙げられる。 レーザー駆動プロトン誘起中性子の検出効率を高めるための大型のシンチレーターの購入に充てる。
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