研究課題/領域番号 |
25420916
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
内田 隆 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10564768)
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研究分担者 |
大川 浩一 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00375221)
村岡 幹夫 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50190872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタンハイドレート / ガスハイドレート / 超音波 / ピエゾ振動子 / 生成分解 / メタンハイドレート賦存層 / 生産試験 |
研究概要 |
R-11ハイドレート生成は、R-11(液体)の水へ難で)、比重も1.45と大きいため容易ではないが、冷蔵庫内でバイブレーターによって継続的に混合溶液に振動を与えるなど、生成方法は概ね確立した。さらに、天然の産状を模した砂堆積物の粒子間孔隙中にR-11ハイドレートを約60%、80%および100%の飽和率で生成することができた(孔隙充填型ハイドレート)。 28KHzおよび200KHz2種類の周波数の超音波を用いて塊状R-11ハイドレートに照射したところ、ハイドレートが不均一に分解することが確認でき、その際の温度分布をサーモグラフィーによって把握した。分解の圧力変移分布を把握するために、圧力画像解析システムを導入する予定であったが、当該製品は水中での使用ができないことが判明したため、水中でも使用可能にするべく試行錯誤的に工夫を重ねている。 超音波照射によるハイドレート分解で発生する微小振動音を、圧電フィルム(ピエゾ振動子)を用いて検出して周波数/音圧レベル分布を解析することによって、ハイドレート分解挙動と超音波照射の効果が評価できる。しかし、圧電振動子によるR―11ハイドレートの分解時の振動音の検出を試みた。しかし,感度不足のため圧電フィルムセンサによるハイドレート分解で発生する振動音の検出は困難であったが、計測用コンデンサーマイクロフォン+電圧増幅器によって非接触状態で計測することができた。その振動音信号の周波数解析によって、ハイドレート分解速度の増加に伴って周波数ピークが増幅することがわかった。現段階では、圧電センサではR-11ハイドレート分解による振動音の検出ができなかったものの、計測用マイクロフォンによって計測することができた。圧電センサによって検出できなかった原因を検討するとともに、今後も圧電センサによるアプローチを続けたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.ハイドレート試料作製:常圧で生成が可能なR-11ハイドレート生成は、R-11の水への溶解度がかなり小さく、比重も1.45と大きいため容易ではないが、冷温下でバイブレーターによって継続的に混合溶液に振動を与えることにより生成方法は概ね確立した。塊状の試料だけではなく、南海トラフに分布するメタンハイドレート含有砂層を模した砂堆積物の粒子間孔隙中に異なる飽和率で生成することができた。 2.超音波発振装置による予察実験:塊状ハイドレートに2種類の周波数の超音波を照射したところハイドレートが不均一に分解することが確認でき、その際の温度分布をサーモグラフィーによって予察的に把握した。分解の際の圧力変移分布を把握するための圧力画像解析システムが水中での使用が考慮されておらず、試行錯誤的に工夫を重ねている。 3.ピエゾ振動子によるメタンハイドレートの分解特性の把握:超音波照射によってハイドレートを分解させる際に発生する微小振動の周波数/音圧レベル分布を解析することによってハイドレート分解挙動と超音波照射の効果を評価するために、圧電振動子(圧電フィルムセンサおよびコンタクト型圧電マイク)を用いて分解時の振動音の検出を試みた。しかし,感度不足のためハイドレート分解振動音の検出は困難であった。計測用コンデンサーマイクロフォン+電圧増幅器によって非接触状態で計測した結果,分解時の振動音を計測することができた。その振動音信号の周波数解析によって、ハイドレート分解速度の増加に伴って周波数ピークが増幅することがわかった。現段階では、圧電センサではハイドレート分解による振動音の検出ができなかったが、計測用マイクロフォンによって計測することができた。圧電センサによって検出できなかった原因を検討するとともに、今後も圧電センサによるアプローチを続けたいと考えている。 以上のように、おおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
超音波照射によるハイドレートの効果的な分解が確認され、今後引き続き塊状ハイドレートおよび砂堆積物充てんハイドレートの分解特性について、温度圧力範囲(ハイドレート含有砂層が分布する地下状態)および超音波周波数、ハイドレート分解および効率との相関性を検討するとともに、ハイドレート分解の際に発生する微小振動音を圧電センサまたは計測用マイクロフォンによって検出し、周波数/音圧レベル分布を詳細に解析して、分解メカニズムを明らかにしたい。 超音波照射による分解実験の際に微細な圧力変移の2次元的分布変化を観測するとともに、ピエゾ振動子によって感知される振動が圧力変動へどのような影響を与えるかを定量的に評価するために圧力画像解析システムを導入考えているが、我々の水中でのハイドレート実験では利用できないことが判明し、まだ製品導入に至っていない。2次元的な圧力分布を把握する装置は当該製品の他にはないため、水中でも使用可能にするべく、現在試行錯誤的に工夫を重ねているところであり、良好な結果が得られつつある。 ハイドレート分解による振動音の検出については、現段階では圧電センサでは検出できなかった。その原因として、1)ハイドレート作製後、時間が経過してハイドレートが一部分解していた、2)ハイドレートと圧電センサの接触が不完全であった、などが考えられる。1)についてはハイドレート作製後直ちに分解実験を実施して圧電センサによる振動音計測を行うことが肝要である。2)については、ハイドレート試料の平面切り出しを工夫することによって改善されるものと考えられる。圧電センサによって検出できなかった原因をさらに検討し、今後も圧電センサによるアプローチを続けることとしたい。また、検出された振動音の周波数解析を実施し、ハイドレートの分解メカニズムを明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
超音波照射による微細な圧力分布の変化を観測する圧力画像解析システムを購入する予定であったが、ガスハイドレート分解実験を行うような水中では直ちには使用できないことが判明したため、購入に至っていない。 ハイドレート分解実験を行うような水中ではも利用可能にするための工夫(改造)を試行錯誤的に試みたところ、使用できる見通しがほぼ立ったことから、H26に導入したい。
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