研究概要 |
静電容量の実際の厚さが分子大なので、電気二重層の静電容量は電極の微視的表面積だけで決まる。電極に垂直方向へのイオン分布を考慮するGCS理論は、電気二重層キャパシタの考え方と異なることを証明し、矛盾することを示した。静電容量のイオン濃度依存性や電位依存性のデータを得た。(論文1,2,3,4,5)。 次にGCS理論に代わる独自の理論として、電気二重層キャパシタへの実用に向く研究結果は以下です。(1)論文(1,2,3,4,5)に掲載したように原始的モデルの構築・計算をした。電気二重層容量にかかわる変数は、塩の濃度、誘電率、外部電圧、電解質イオンの大きさ、電解質の価数などであり、それぞれ現れる静電容量の特徴が異なる。各変数が及ぼす力が明瞭になるイオンの配置モデルを設定する。力からエネルギーを算出し、カノニカル分配関数を作成する。それを基にして、静電容量、電位分布、表面電荷密度などの期待値を求める。その考えを基礎実験によって証明した。 (2) 論文(6,7,8,9)に掲載したようなナノ電極の作製および組み合わせ: ナノメートルオーダーを目指して電極の微小化(論文6,7)、絶縁壁が問題になりにくい白金微細線電極の作製と検証(論文8,9)、電気化学測定装置の調整、微小電極の組み合わせを行った。実用に向く最適条件を見つけるまで至らず、さらなる時間と設備の充実が必要である。 (3) 論文(4,5,6) に掲載したようなイオン化した微粒子の合成およびその性質:異なる直径を持った3種類のラテックスを合成した。それぞれの粒子の幾何学とイオン的性質および溶媒への分散などの基本的な性質を求めた。 (4) 実験結果に基づくモデルの構築およびモデル計算と並行して行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の70%に至る研究結果が得た。 (1) 論文(1,2,3,4,5)に掲載したような電気二重層の原始的モデルの構築・計算をした。電極に垂直方向へのイオン分布を考慮するGCS理論は、電気二重層キャパシタの考え方と異なることを証明し、矛盾することを示した。静電容量のイオン濃度依存性や電位依存性のデータを得た。その考えを基礎実験によって証明した。 (2) 論文(6,7)に掲載したようなナノメートルオーダーを目指して電極の微小化に成功した。ナノ電極の作製、絶縁壁が問題になりにくい白金微細線電極の作製と検証、ナノ電極の無塩状態での応用、電気化学測定・データ解析と計算理論をした。 (3) 論文(4,5,6) に掲載したようなイオン化した微粒子の合成およびその性質:異なる直径を持った3種類のラテックスを合成した。それぞれの粒子の幾何学とイオン的性質および溶媒への分散などの基本的な性質を求めた。 実用に向く最適条件を見つけるまで至らず、さらなる時間と設備の充実が必要である。
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