研究課題/領域番号 |
25420922
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉原 英治 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359854)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 配電系統 / 電気自動車 / 太陽光発電 |
研究実績の概要 |
今年度は,当初予定していた研究期間(3年間)の最終年度として,これまで開発してきた急速充電ステーションを含む高低圧配電系統モデルに対して,需要家電圧制約および配電線電流制約下における電気自動車(EV)の急速充電台数の評価手法を適用し,実際にシミュレーション評価を実施した。特に,本研究では配電ネットワークの安定運用の観点からEV急速充電可能量を評価する点が特徴であり,今年度は新しい指標として,EV急速充電の最大可能量に対する均等可能量の割合から,EV急速充電可能量の空間的な均等化率(Equalization factor)を定義し,最大充電可能台数だけではなく空間的な均等化率という視点も加えて評価を実施した。 シミュレーション評価の結果,対象としたモデル配電系統においてEV急速充電に伴う電圧降下対策を実施しない場合,空間的な均等化率は35%程度であり,配電用変電所に近い急速充電ステーションでは多くの充電可能量を確保できるものの,フィーダ末端付近では急速充電可能量をほとんど確保することができず,ネットワーク内におけるアンバランスが大きい結果となった。一方,低圧配電系統に連系される住宅用太陽光発電(PV)システムを想定し,快晴時にPVから発電出力(有効電力出力)が得られる場合について評価した結果,均等化率を60%程度まで高めることが可能であった。ただし,当然のことながら,日射強度が低下するにつれて均等化率も低下する結果となった。そこで曇天時には,住宅用太陽光発電に併設されるインバータの空き容量を利用して,無効電力出力も活用することにより,均等化率を70%程度まで高めることが可能であることを示した。さらに,無効電力出力を活用した際に問題となる配電線の電流容量制約に対する定量的評価や,我が国の系統連系ガイドラインの現状を含めた実現可能性についても考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究進捗としては,おおむね順調に進んできたと考えており,研究成果についてもおおよそ所期の目的は達成してきたと考えている。ただし,学会出席および研究成果発表を検討していた国際会議2件(IEEE ISGT Europe 2015, IEEE ISGT 2016)がともに開催中止や開催延期となったため,諸外国における最新の研究開発動向を踏まえて研究成果を取りまとめるため,当初予定していた研究期間を1年延長し,2016年度まで研究を実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
延長された2016年度は,主に国際会議等への参加や研究成果発表を通じて,諸外国における最新の研究開発動向を踏まえて,本研究課題の成果を取りまとめることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出席および研究成果発表を検討していた国際会議2件(IEEE ISGT Europe 2015, IEEE ISGT 2016)が開催中止や開催延期となったため,2015年度内に予算執行できず,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
延長された2016年度は,主に国際会議等への参加や研究成果発表を通じて,最新の研究開発動向を踏まえた研究成果の取りまとめを行う計画である。次年度使用額は,この計画に必要となる旅費や学会参加費として適切に執行する。
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