研究課題
本研究では、神経軸索再生におけるホスファチジルエタノールアミン(PE)の細胞膜内動態の役割について解析を行っている。申請者はこれまでに、初代培養海馬神経細胞を用いた研究により、IV型ATPaseにより誘導されるPEの細胞膜内動態が神経突起の伸長に関与することを示してきた。また、この現象には低分子量G蛋白質のCdc42が関与することを見出してきた。本研究では、これらの成果を基に、末梢神経細胞(脊髄後根神経節(DRG)神経細胞)に適用することにより、末梢神経の軸索再生に細胞膜脂質のダイナミックスがどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目的とした。今年度までの実験により、成体マウス由来の培養DRG神経細胞における実験系は確立できた。現在、IV型ATPaseのトランスフェクションにより神経軸索の伸長がどのように影響されるかを検討しているところである。また個体レベルの実験として、坐骨神経の完全切断-神経端再縫合モデルの立ち上げに成功した。現在、このモデルを用いてPEの細胞膜内動態を検討しているところである。
3: やや遅れている
平成27年度中に、神戸薬科大学への異動があり、筑波大学での実験を途中でストップした。また、筑波大学の全学停電による電気設備点検の際に、冷凍庫の電源喪失事故があり、試薬のチェックに時間を割かなければならなかった。
早急に研究計画1~3を完遂させるため、最大限の努力を払う。神戸薬科大学での研究体制が確立できてきたので、学内外に協力を仰ぎながら、研究完遂を目指す。
平成26年度内に所属機関の異動があった(筑波大学→神戸薬科大学)。そのため、異動の準備や新しい実験環境の立ち上げに時間が取られ、予定より実験が進まなかった。
平成27年度は請求する助成金は無い。平成26年度から持ち越した金額内で、予定していた研究を完遂できるように最大限の努力を払う。消耗品を中心に、一部(100,000円を予定)を旅費として使用させていただく予定である。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Nat. Commun.
巻: 6 ページ: 7925
10.1038/ncomms8925.
Sci. Rep.
巻: 5 ページ: 14919
10.1038/srep14919.