本研究では、細胞膜リン脂質の一種であるホスファチジルエタノールアミン(PE)の細胞膜内動態が、末梢神経細胞の軸索再生を制御する機構を明らかにするために解析を行ってきた。初代培養神経細胞を用いた実験より、細胞内カルシウム濃度の上昇がPEの細胞膜内移動を制御し、軸索の伸長を誘導することを示唆する知見を得た。また、細胞膜リン脂質に結合するMatrix metalloproteinaseの制御因子であるTissue inhibitor of metalloproteinase (Timp)の発現を検討し、末梢神経損傷ではTimp-3サブタイプが、脳梗塞ではTimp-1の発現が上昇することを見出した。
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