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2015 年度 実施状況報告書

神経-グリア相互作用におけるグリアATP受容体の役割

研究課題

研究課題/領域番号 25430003
研究機関群馬大学

研究代表者

細井 延武  群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90543570)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードATP受容体 / グリア / 小脳
研究実績の概要

脳神経系において、グリア細胞は、単なる受動的な支持細胞であり、せいぜい神経細胞を解剖学的に支持して、神経細胞の活動を補助的にサポートする程度の働きしかしていないと考えられてきた。しかしながら、グリア細胞にも神経細胞と同じような多種多様な神経伝達物質の受容体やイオンチャンネル、トランスポーター等が発現していることが最近明らかになりつつある。したがって、グリアは単なる受動的な素子ではなく、神経細胞やその他の細胞と積極的にシグナルをやり取りし、神経系の高度な情報処理に対してより直接的に関与する能動的な機能素子である可能性が大きくなってきた。小脳のバーグマングリアにもATP受容体が存在し、神経活動に応じて活性化され、グリア内のCaシグナル応答を引き起こすことが知られている。しかしながら、従来の薬理学的な実験では、グリアのATP受容体のみを阻害することは困難であり、グリアに存在する多種多様なサブタイプのATP受容体の機能的役割は明らかにされていない。そこで、本研究ではグリア特異的発現ウイルスベクターと外来性microRNAによる特異的分子ノックダウンの技術を組み合わせ、小脳バーグマングリア特異的にATP受容体の機能を低下させることにより、グリアATP受容体の機能的役割を検討することが目標である。緑色系の蛍光Caイメージングを妨げないよう、赤色系の発現マーカーをグリア特異的に発現するウイルスベクター(レンチウイルス、AAV)を作製した。培養したグリアを用いて、Caイメージングを行う実験系を立ち上げた。ウイルスベクターを用いてmicroRNAを導入し、ATP受容体の発現をノックダウンする手法を適用し、培養グリアを用いたATP投与に対するCa応答を指標として、効率的にATP受容体をノックダウンすることが出来るmicroRNAの配列を検討しているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

緑色系の蛍光Caイメージングの波長と重ならない赤色タンパク(tdTomato、mCherry, Kusabira Orange)発現タグを組み込み、microRNAの発現を可能にするレンチウイルスベクターとアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)のコンストラクトの作製は完了した。しかしながら、培養グリアを用いたCaイメージングの実験系を立ちあげるのに手間取ってしまい、ATPに対するグリアのCa応答をようやく解析できるようになった。そのため、microRNAによるノックダウンを効率的に行う配列のスクリーニングが遅延してしまい、まだ効率的なノックダウンを行う最適な配列を見つけられていない。したがって、遅れていると自己評価し、研究期間の延長を申請した。

今後の研究の推進方策

比較的短期間で作成できるレンチウイルスベクターを用いて、ノックダウン効率の評価を行い、microRNAの最適化を行う。特定のATP受容体のサブタイプに対して、異なる複数の配列をターゲットにしたコンストラクトを作製し、ノックダウンの最適化を行う。あるサブタイプのATP受容体に対して、最適なmicroRNAの配列が見つかり次第、マウスを用いたin vivoでの機能評価の実験を進める。In vivoでの実験において、レンチウイルスベクターでは発現が弱くてノックダウンの効率が芳しくない場合、広範囲の発現が可能で発現効率も良いAAVを用いて実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

緑色系の蛍光Caイメージングの波長と重ならない赤色タンパク(tdTomato、mCherry, Kusabira Orange)発現タグを組み込み、microRNAの発現を可能にするレンチウイルスベクターとアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)のコンストラクトの作製は完了した。しかしながら、培養グリアを用いたCaイメージングの実験系を立ちあげるのに手間取ってしまい、ATPに対するグリアのCa応答をようやく解析できるようになった。そのため、microRNAのノックダウンを効率的に行う配列のスクリーニングが遅延してしまい、まだ効率的なノックダウンを行う最適な配列を見つけられていない。したがって、遅れていると自己評価し、研究期間の延長を申請した。

次年度使用額の使用計画

microRNAを発現するレンチウイルスベクターとAAVベクターのコンストラクト作製が完了し、今後、継続して、様々なmicroRNA候補を試す必要がある。 前年度から繰越した研究費を用いて、コンストラクトの作製、およびグリア培養系でのCaイメージングに関わる試薬・消耗品等を購入する予定である。最適化されたmicroRNAの配列を用いてin vivoの実験を行う際に必要となる、電気生理学的実験や解剖学的実験等に必要な消耗品や機器なども購入する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 脊髄小脳変性症1型モデルマウスにおける短期・長期シナプス可塑性とCa2+シグナルの進行性異常2016

    • 著者名/発表者名
      細井延武、アントン シュワエフ、平井宏和
    • 学会等名
      第93回日本生理学会大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-03-22 – 2016-03-24
  • [学会発表] 短縮型マウスGFAPプロモーターとTet systemを組み合わせた新規AAV二重感染法による遺伝子発現のグリア特異性の検討2015

    • 著者名/発表者名
      七田真之、細井延武、今野歩、平井宏和
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場、神戸国際展示場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31
  • [学会発表] 脊髄小脳変性症1型(SCA1)モデルマウスにおけるmGluRを介したシナプス伝達の進行性異常2015

    • 著者名/発表者名
      細井延武、平井宏和
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場、神戸国際展示場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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