研究課題/領域番号 |
25430008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
橋本 光広 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90311357)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小脳 / プルキンエ細胞 / 領域化 / 誕生日 / アデノウイルスベクター |
研究概要 |
1.Venusを発現するアデノウイルスベクターを用い、同じ誕生日を有するプルキンエ細胞を蛍光ラベルする。その後、FACSを用いて、同じ誕生日を有するプルキンエ細胞を、胎生18.5日の小脳から選択的に回収する方法を確立した。この方法を用い、マウス胎生10.5日、胎生11.5日、胎生12.5日生まれのプルキンエ細胞を、胎生18.5日の小脳から選択的に、分離・回収し、回収したサンプルからRNAを抽出、2回増幅後、各誕生日ごとのプルキンエ細胞に発現している遺伝子を、DNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。DNAマイクロアレイの解析の結果、ある誕生日を有するプルキンエ細胞において発現が上昇している、または、発現が減少している遺伝子群を選定できた。現在、選定した遺伝子群に対してin situ hybridizationおよび免疫染色を行い、それらの発現パターンを時空間的に解析している。 2.自由行動下において、チャンネルロドプシン2を発現した神経細胞の活性を光刺激によって制御するため、赤外線による無線小型光刺激装置を独自に開発した。この装置は、バッテリーを含めて、2.4グラムしかなく、マウスの頭蓋上に設置できる。また、この装置は、3つのチップLEDを駆動することができ、それぞれの発光パターンをプログラムによって自由に変更することが出来る。さらに、この装置の赤外線通信をマルチチャンネル・マルチバンドに改良し、同じ実験フィールドにいる複数個体のマウスを個別に光刺激できるようにした。本年度、この装置に関する研究成果を論文にし、Neurophotonics創刊号で、オバマ大統領が提唱したBRAIN initiative に捧げられた特別セクションに受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までの研究成果を元に、和文総説を1報作成し、研究代表者の研究内容の一般社会への情報発信をおこなった。 研究成果をもとに、論文を1報作成し、受理された。 研究の結果、小脳内の領域化に関与する分子の挙動を経時的に観察することが出来た。 研究成果を、第46回発生生物学会、神経科学学会、ゴードンカンファレンス(小脳)、北米神経科学会で報告できた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は変更しない。 1.ある誕生日を有するプルキンエ細胞において発現が上昇している、または、発現が減少している遺伝子群の発現パターンを時空間的に解析し、小脳内領域化を制御している分子メカニズム、ならびに、小脳内の領域化の過程を時空間的に明らかにする。 2.自由行動下において、チャンネルロドプシン2を発現した神経細胞の活性を制御する、無線小型光刺激装置をもちい、小脳プルキンエ細胞の活性を選択的に制御する技術の確立を目指す。その技術によって、小脳プルキンエ細胞の誕生日によって規定される領域と、その生理学的機能の解明を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文1報が3月に受理された。論文掲載費として3月中に使用する予定だあったが、掲載される雑誌が、創刊号であることもあって、編集作業が遅れており、編集部の都合により出版が4月以降にずれ込んでしまった。それにともない、編集部からの論文掲載費の請求も遅れ、年度内に使用できなかった。 別の論文1報を2月に投稿し、現在、改訂作業中である。この論文のための英文校正費用として3月中に使用する予定であったが、編集部からの返事が遅れ、年度内に使用できなかった。 以上の理由で、本年支出予定であった経費が、やむなく来年度にずれ込んでしまった。 生じた次年度使用額は、本年度支出する予定であった論文掲載費ならびに英文校正費に使用する。
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