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2015 年度 実施状況報告書

運動のバランスを司る神経回路の解明と新規運動サポート技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25430009
研究機関大阪大学

研究代表者

木津川 尚史  大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (10311193)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードバランス / 走行 / 線条体
研究実績の概要

運動を適切に遂行するために、身体のバランスが重要である。人間や動物は左右の脚を交互に動かして行動するため、特に運動時の左右身体の相互作用が要となるが、その神経機構は不明な点が多い。本研究では、大脳皮質ー線条体投射に交連性の投射があることに着目し、大脳皮質ー線条体両側性投射神経細胞の光刺激など、線条体の神経細胞の活動に外乱を与えることによる運動の状態を解析した。運動には、独自に開発したランニングホイール「ステップホイール」を用いて、走行時の運足や報酬である飲水のタイミングを計測した。不適切なタイミングでの運動がバランスを崩すことに繋がる。歩行・走行のような繰り返し運動においては、タイミングはリズムとして現れると考えられるが、実際、線条体神経細胞が非常に周期的な活動(リズム)を示すことを見出した。このリズムが、左右のタイミングを調節するために利用されている可能性があり、実際、複雑な運足パターンを走行しているときでも、左右の脚の運足周期各々が神経活動周期と一致していることが確認できた。また、左右の脚のタイミングと飲水のタイミングが入れ子状に組み込まれていることが見出された。このことは、全身の運動がリズムにより統合されている可能性を示しており、この統合が上首尾に起きることがバランスの維持に繋がっている可能性が高いと考えられる。光刺激を用いた線条体神経活動外乱により、どの線条体神経回路がこのリズム形成に関与しているかが明らかになりつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウス走行装置Step-Wheelを用いた行動実験、光遺伝学的手法を用いた神経活動制御、神経活動の記録など、実験は順調に進んでいる。線条体神経細胞のリズム活動の理解が進んだので、そのぶん想定よりも解析すべき運動パターンが増えた。そのため、解析に要する時間がかかるようになっている。

今後の研究の推進方策

これまでの結果から、線条体神経細胞の時間依存的活動に関する知見が得られてきている。これに基づき、線条体神経細胞の機能についてより詳細な結果を得るために、マウス走行条件の変更を行っている。線条体のリズム活動が観察しやすい状況でマウスを走行させ、運動にあわせて光刺激を行う。

次年度使用額が生じた理由

マウスに装着するヘッドステージ(電極や光ファイバを組み合わせる部品)など高額な消耗品が想定よりも長持ちしているので追加購入せずにすんでいるため、節約できた。

次年度使用額の使用計画

実験の効率的なスピードアップのために、研究補助者の雇用にあてる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Imaging a memory trace over half a life-time in the medial temporal lobe reveals a time-limited role of CA3 neurons in retrieval2016

    • 著者名/発表者名
      Lux, V., Atucha, E., Kitsukawa, T., Sauvage, MM.
    • 雑誌名

      Elife

      巻: 5 ページ: -

    • DOI

      doi: 10.7554/eLife.11862

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] The transfer and transformation of collective network information in gene-matched networks2016

    • 著者名/発表者名
      Kitsukawa T, Yagi T.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 5 ページ: -

    • DOI

      doi: 10.1038/srep14984.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Expression pattern of immediate early genes in the cerebellum of D1R KO, D2R KO, and wild type mice under vestibular-controlled activity2015

    • 著者名/発表者名
      Nakamura T, Sato A, Kitsukawa T, Sasaoka T, Yamamori T.
    • 雑誌名

      Front Cell Dev Biol.

      巻: 3 ページ: -

    • DOI

      doi: 10.3389/fcell.2015.00038.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impaired clustered protocadherin-α leads to aggregated retinogeniculate terminals and impaired visual acuity in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Meguro R, Hishida R, Tsukano H, Yoshitake K, Imamura R, Tohmi M, Kitsukawa T, Hirabayashi T, Yagi T, Takebayashi H,Shibuki K.
    • 雑誌名

      J Neurochem.

      巻: 133 ページ: 66-72

    • DOI

      doi: 10.1111/jnc.13053.

    • 査読あり
  • [学会発表] リズム運動の構造と神経基盤:ドーパミン受容体変異マウスでの運動解析2016

    • 著者名/発表者名
      木津川尚史
    • 学会等名
      平成27年度 脳研究所共同利用共同研究 合同セミナー
    • 発表場所
      新潟大学脳研究所(新潟県新潟市)
    • 年月日
      2016-12-21 – 2016-12-21
  • [学会発表] 局所回路モデルGene-Matched Networkを利用したネットワーク情報の解析2016

    • 著者名/発表者名
      木津川尚史、八木健
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2016-07-30 – 2016-07-30
  • [学会発表] 複雑な連続ステップの学習初期に線条体の可塑性が必要である2016

    • 著者名/発表者名
      中村徹、永田雅俊、八木健、山森哲雄、木津川尚史
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2016-07-29 – 2016-07-29

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公開日: 2017-01-06  

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