われわれの日常には体の左右の連携・協調を必要とする運動が多く存在するが、その際に機能する脳機構は理解が進んでいない。左右の協調が必要である複雑ステップをマウスに行わせ、その際に活動する脳部位を最初期遺伝子c-Fosの発現を指標にして探索した。その結果、大脳皮質と大脳基底核線条体にかかる神経回路、神経細胞が活動していることが明らかになった。さらに、NMDA型クルタミン酸受容体の阻害薬AP5を用いて、新規な複雑ステップを学習する際に線条体のシナプス可塑性が寄与しているかを解析した。その結果、AP5投与群では新規パターンの学習初期に成績の低下が認められ、線条体における可塑性の寄与が明らかになった。
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