研究課題/領域番号 |
25430011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高田 則雄 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (50415212)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海馬 / マウス / fMRI / 機能的MRI / 光遺伝学 / オプトジェネティクス |
研究概要 |
本研究の目的は、背側海馬と腹側海馬の機能の違いが、海馬から他の脳領域への活動伝播の違いに反映されているか検証することである。そのために本課題では、海馬神経細胞に光感受性蛋白質を発現している遺伝子改変マウスを用いて、機能的MRI(fMRI)装置による計測の最中に、海馬の腹側あるいは背側へ光照射することで海馬神経細胞を活性化し、これに応答する脳領域(場所)を特定することを第一の目的としている。 初年度である平成25年度には、上記計測を実行するための計測系の立ち上げ、計測結果の解析手順の確立、背腹海馬活性化時の応答の比較解析を行った。具体的には、1、海馬の背側と腹側とを光照射によってそれぞれ活性化できるように、光ファイバーを埋め込む手術を行った。マウス専用MRI検出器であるCryoProbeはマウス頭蓋上部を覆っているので、光ファイバーがCryoProbeに干渉しないように配置を工夫した。2、マウス脳に対するfMRI撮像は近年始まったばかりである。そのため解析手順が十分には確立していない。ヒトfMRI解析に汎用されているソフトspmを用いて、ヒト用に調整されているパラメータをマウスfMRIに最適化した。3、背腹海馬をそれぞれ光活性化した時の全脳応答を比較した。上記spmを用いた空間応答だけでなく、汎用解析ソフトmatlabを用いたfMRI信号強度の比較も行うことで脳領域間の結合強度の推定も行った。 以上によって、従来不明であった海馬活性化時の全脳応答を捉えることに初めて成功した。背側と腹側の活性化は従来の予想外の脳部位を賦活化することを見つけた。この結果をまとめた論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究初年度において、本研究提案の第一目的である背腹海馬活性時の全脳応答検出に成功済みであり、これらの応答を比較検討した結果を論文として投稿済みのため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では麻酔下動物を用いていた。より自然な脳活動とその応答を研究するために、覚醒状態の動物からのfMRI計測系の立ち上げを行う。具体的には申請者が以前顕微鏡を用いた脳活動計測を行っていた時の技術を応用し、fMRI計測中に動物の頭蓋骨を強固に固定する手法を適用する。
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