研究課題
情動記憶は個体の生存に重要な鍵として機能する。痛みなどの無条件刺激 (US) と音や空間などの条件刺激 (CS) との連合学習である恐怖条件付けには、扁桃体外側核がその責任領域として長年研究が進んできた。一方、USとして用いられる痛みシグナルは、腕傍核(PB)から扁桃体外包中心核(CeC)に直接入力することが知られ、CeCもCS-US連合の場として捉えられる。そこで本研究では、CeCを新たな連合の座と捉え、情動学習における活動を可視化し個体レベルで光操作することにより、その生理的役割を、神経回路から行動制御レベルまで一貫して解明することを目的とした。研究実績の概要としては、CeCが情動学習依存的に顕著なシナプス増強を示すことを見出した。さらに連合学習時にPBを可逆的に抑制すると、情動記憶が抑制されることも見出した。興味深いことに、PB-CeC経路を光遺伝学的に活性化すると、痛み信号を与えることなく人工的な恐怖記憶形成された。以上の結果は、PBからCeCへの入力が痛み負情動を生み出す経路であることを示唆する。
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