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2015 年度 実績報告書

マカクザルによる盲視と半側空間無視の動物モデルを用いた気づきと注意の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25430022
研究機関生理学研究所

研究代表者

吉田 正俊  生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (30370133)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード半側空間無視 / 上側頭回 / 盲視 / 空間認知
研究実績の概要

マカクザルによる半側空間無視の動物モデルの確立を目指して、ヒトにおける腹側注意経路の相同部位であると考えられている、側頭頭頂接合部と前頭連合野とを繋ぐ神経線維である弓状束(AF)を切断するために、2頭のニホンザルにおいて右上側頭回への損傷手術を行った。空間無視の評価法としては、ケージ内でのタッチパネルを用いた行動課題を行った。この課題は診断で用いられる線分末梢課題をサル用に調整したものであり、点灯する色パッチの中から特定の色のパッチに触れると報酬が与えられる。2頭のサルで損傷後一ヶ月にわたって、眼と頭を自由に動かしてよいのにもかかわらず、損傷と対側にあるターゲットを検出することに失敗することを見出した。また、アイトラッカーを用いた視線計測も行った。モンキーチェアに座っているサルの眼前にディスプレーを設置して動画を見せた。2頭のサルで損傷後一ヶ月にわたって眼と頭を自由に動かしてよいのにもかかわらず、損傷と同側の画面に視線が偏位することを見出した。以上のことから、右上側頭回への損傷によって上縦束切断とは異なる半側空間無視用の症状が見られることを明らかにした。以上によって、視覚的顕著性(saliency)の計算論的モデルを応用することによって、無視症状の行動評価を行うための実験系を確立した。また、視覚的顕著性の計算論的モデルを神経生理学的知見に基づいたものとするために、スパイキング・ニューロン・ネットワークを用いた上丘のモデルを作成し、上丘脳切片での神経生理学的知見を再現することに成功した。
また、比較対照群として第一次視覚野を損傷したサルでの視覚検出に関する実験を行い、信号検出理論的解析によってこの動物がヒト盲視と同様な行動を示すことを明らかにした。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] チュービンゲン大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      チュービンゲン大学
  • [雑誌論文] A Microsaccadic Account of Attentional Capture and Inhibition of Return in Posner Cueing.2016

    • 著者名/発表者名
      Tian X, Yoshida M, Hafed ZM
    • 雑誌名

      Frontiers in systems neuroscience

      巻: 10 ページ: 23

    • DOI

      10.3389/fnsys.2016.00023

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Signal detection analysis of blindsight in monkeys.2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshida M, Isa T
    • 雑誌名

      Scientific reports

      巻: 5 ページ: 10755

    • DOI

      10.1038/srep10755

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Applying differential evolution MCMC to parameterize large-scale spiking neural simulations2015

    • 著者名/発表者名
      R Veale, T Isa, M Yoshida
    • 雑誌名

      Proceedings of 2015 IEEE Congress on Evolutionary Computation (CEC)

      巻: - ページ: 1620-1627

    • DOI

      10.1109/CEC.2015.7257081

    • 査読あり
  • [学会発表] Awareness in Blindsight in Man and Monkey.2016

    • 著者名/発表者名
      吉田 正俊
    • 学会等名
      8th Annual meeting of The UK Neuro-Ophthalmology Special Interest Group
    • 発表場所
      Oxford, UK
    • 年月日
      2016-03-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Awareness and saliency in blindsight.2015

    • 著者名/発表者名
      吉田 正俊
    • 学会等名
      International Symposium on Consciousness and Intention in Economics and Philosophy
    • 発表場所
      京都府、京都市
    • 年月日
      2015-12-12
    • 招待講演
  • [学会発表] Awareness in Blindsight in Man and Monkey.2015

    • 著者名/発表者名
      吉田 正俊
    • 学会等名
      Symposium on Memory and Mind
    • 発表場所
      宮城県、仙台市
    • 年月日
      2015-09-29
    • 招待講演
  • [学会発表] Vision and eye movements in blindsight.2015

    • 著者名/発表者名
      吉田 正俊
    • 学会等名
      the 31st International Pupil Colloquium 2015
    • 発表場所
      Oxford, UK
    • 年月日
      2015-09-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 「見えてないのに分かってしまう」盲視はヒトでもサルでも同じ

    • URL

      http://www.nips.ac.jp/release/2015/06/post_298.html

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公開日: 2017-01-06  

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