研究課題/領域番号 |
25430025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
宮坂 信彦 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 副チームリーダー (70332335)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 嗅覚 / 神経回路 / 脳 / 行動 / 遺伝子工学 / 嗅球 / 間脳 / ゼブラフィッシュ |
研究概要 |
研究代表者らはこれまでに、ゼブラフィッシュの嗅球と間脳を直接結ぶ2つの嗅覚経路(手綱核経路, 視床下部経路)の存在を見いだした。これらの神経回路素子は感覚入力から運動出力への迅速な変換を司る可能性が示唆される。本研究では、「嗅球-間脳」直接経路をモデルシステムとして、嗅覚入力から行動出力に至る神経回路メカニズムの解明にアプローチした。 1 手綱核経路を活性化する匂い分子群の同定 手綱核に投射する嗅球出力ニューロンは、特定の糸球体群(内背側および内腹側)と接続していることが明らかとなっている。また最近、MAPキナーゼのリン酸化(pErk)が、活性化された糸球体を同定するための良いマーカーになることを見いだした。各種化学物質単体および生命活動と関連した未精製組織抽出物によって、ゼブラフィッシュの嗅細胞を刺激し、pErk免疫組織化学法で活性化された糸球体を解析した。その結果、これまで知られていた匂い物質とは全く異なる刺激によって、内背側糸球体が活性化されることが明らかとなった。 2 視床下部領域の三次嗅覚ニューロンの同定 視床下部領域の後方結節で嗅覚情報を受け取る三次ニューロンを同定するために、シナプス前部に局在する蛍光タンパク質(Synaptophysin-GFP)や、経シナプス性トレーサーWGAなどのレポーター分子を、嗅球出力ニューロンで発現するトランスジェニック系統を樹立した。視床下部領域におけるレポーター分子の局在を解析したところ、Synaptophysin-GFPシグナルの一部は、ドパミンニューロンの神経線維に近接して存在していた。また、ドパミンニューロンの一部で、嗅球出力ニューロンに由来するWGAの取り込みが観察された。これらの結果から、後方結節ドパミンニューロンが嗅覚情報を受け取ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請の研究計画にほぼ沿って進展している。行動実験など機能的な解析に向けて、基本となるデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られたデータを基に、神経回路素子の遺伝学的操作が可能なトランスジェニック系統の作製、及びそれらを用いた嗅覚行動実験による機能的な解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた消耗品の購入が次年度に持ち越しとなったため。 繰り越し金および翌年度請求分を合わせて、消耗品に使用する。
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