研究課題
基盤研究(C)
本年度はまずプロトカドヘリン9のノックアウトマウスの形態学的解析を行った。生後マウスの脳のスライスをニューロフィラメントで染色を行ったが、視床皮質線維や皮質脊髄路などの大きな回路の異常は見いだせなかった。また、前庭神経核の大きさなども特に目立った異常は見られなかった。次に、内耳の平衡班についてもシナプシンなどのシナプスマーカーなどを用いて調べたが異常は見つからなかった。これらの組織形態学的な解析については今後も続けていく必要があると考えているそれと並行してこのノックアウトマウスの前庭動眼反射の解析を行った。この解析は理化学研究所の共同研究者に依頼をした。その結果予備的ながらノックアウトマウスでは反射が低下していることが観察された。しかし、その後このマウスにはloxP で挟まれたneo 遺伝子が組み込まれており、その影響がないことを確認する必要があることが浮上した。そこで、CAG-Cre マウスと交配させることによりneo 遺伝子を除いたマウスの作製をした。現在マウスの遺伝的背景を調べ、自然交配と人工授精によってマウスを増やす準備を整えているところである。マウスが用意できれば、H26年度に再度動眼反射の解析を行うとともに、記憶などの神経機能を調べるために迷路実験などの行動解析を行う予定である。当初の計画より遅れているが、予備的ながら動眼反射の異常が観察されたことは本研究の目的に合致した重要な結果といえる。
3: やや遅れている
当初想定していなかった neo 遺伝子の影響がある可能性が浮上したので、neo遺伝子を除いたマウスの作製に時間がかかった。また、H26年度4月に異動(所属変更)をするための準備で時間がとられた。
4月の異動によるマウスの移管をできるだけ早く済まし、動眼反射、行動解析を進めていく予定である。また、異動先での研究環境を整え、形態の解析を再開していく予定である。
12月末に予定していなかった移動が決まったため、実験などを年度末まで行うことができなかった。そのため当初予定していた予算を使い切ることができなかった。額自体は少ないので、H26年度に研究を始めるための消耗品(試薬、プラスチック器具)や動物購入代金等に充てる予定である。
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