研究課題
平成27年度は、プロトカドヘリン9および比較のためプロトカドヘリン1のノックアウトマウスの行動解析および生化学検査などを理化学研究所 BRCの研究グループと共同研究で行った。プロトカドヘリン9については、Open-field testではホモ個体の中心滞在率が低く、Crawley’s social interaction testでは新奇物体付近での滞在時間が短く新奇物体を避ける傾向がみられたことなどから、ホモの情動性が高くなっている可能性が考えられる。また、聴性脳幹反応は正常であった。血液検査では血糖値がやや低いことや 網状赤血球の低下なども観察された。プロトカドヘリン1については、Open-field testのよう情動性が喚起される場所(新奇場面)ではホモ個体の移動活動が高くなっていた。Crawley social interaction testでは新奇個体付近での滞在時間がホモの方で長く、ホモの社会性が高くなっていた。なお、本年度計画していたプロトカドヘリン9の前庭前庭反射の再検査は行うことができなかった。プロトカドヘリン9については既に本研究の中で前庭動眼反射にかかわっている可能性を示しているが、今回新たに情動行動にも関与していることが明らかになったことは重要であり、平衡覚と情動が密接な関係にあることが考えられる。また今回プロトカドヘリン9の情動行動における関与はプロトカドヘリン1とは異なるものであることがわかった。一方プロトカドヘリン10は自閉症の原因遺伝子の1つであることが報告されており、プロトカドヘリン9も平衡覚や情動行動を制御する因子としてヒトの精神神経疾患と関係している可能性が示唆された。
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eLIFE
巻: 5 ページ: 1-26
10.7554/eLife.10907