研究課題/領域番号 |
25430044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
森 徹自 関西医科大学, 医学部, 准教授 (30285043)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経幹細胞 / 細胞増殖 / 神経回路 / ニューロンの興奮 |
研究概要 |
本年度はまず、本研究の基盤となる線条体ニューロンの形態変化についての基礎データを得るための条件設定を行った。成獣マウスへのピロカルピン(アセチルコリン受容体作動薬)投与により、重積てんかん発作を効率よく、しかもマウスの死亡率を低く抑えて誘発させる条件設定、更にはニューロンの形態を可視化する方法の条件設定を行った。当初の研究計画では、顕微鏡下で単一ニューロンに蛍光色素(ルシファーイエロー)を注入する方法を計画していた。しかし、遺伝子銃による蛍光色素(DiI)標識微小タングステン粒子を圧縮ヘリウムガスで脳スライスに射出する方法を用いることで、単一ニューロンを迅速かつ簡便に標識する事が可能なため、この手技の条件設定を行った。 連携研究者である岡田らによって開発された、ニューロンの興奮性を人為的に改変させるレンチウイルスベクターを用いて、成獣マウス脳室下帯(SVZ)に存在する成体神経幹/前駆細胞の増殖性を変化させる神経回路の存在可能性について検討した。SVZ直近の線条体ニューロンに投射する終脳皮質ニューロンは、成獣ラットでは詳細に報告されているが、マウスでは報告がない。ます、ラットで報告されている終脳皮質ニューロンの存在をマウスで確認する予備実験を行った。微量の蛍光色素(Fluoro-Ruby)を、ラットで報告されている終脳皮質領域に注入した後、1週間後に灌流固定して検討したところ、マウスでもラットとほぼ同様の位置に、SVZ直近ニューロンに入力する終脳皮質ニューロンが存在する事が分かった。現在はこの位置に、上記のレンチウイルスベクター(興奮促進型、または興奮抑制型)を注入し、SVZ神経幹/前駆細胞の反応を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重積てんかんモデルマウスにおける線条体ニューロンの微細構造の変化を検討する点については、顕微鏡下で単一ニューロンへ蛍光色素を個別に注入するよりも、より効率的な方法の条件設定を修了した。今後はデータ取得の段階に進むことができる。 レンチウイルスベクター注入によるニューロン興奮性変化の実験については、ラットで報告されている神経回路がマウスでも存在する事が必須の条件である。本年度はこの点を確認する事が出来たので、確実に次の段階へ進むことができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年4月1日をもって、研究代表者が所属研究機関を異動したため、研究環境に大きな変化が生じた。旧所属で行っていた実験装置のほとんどが、新所属の実験室に配置可能であるが、実験室立ち上げに若干の時間がかかると予想される。当面は、一部の実験を旧所属で行うなど、旧所属との連携を取って研究を遂行する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、各種実験の条件設定を行った。条件設定に、多くの実験動物、試薬を使用する予定であったが、短期間で条件設定を終わらせることができたため、繰越金が発生した。また、研究手技の見直し・変更により、研究経費を削減する事が出来たことも大きい。 繰越金を使用する事によって、実験動物数を増やし、統計学的に信頼性の高いデータを取得する。また、より多くの種類の一次抗体を購入する事で、詳細な細胞マーカー発現を検討して、これまで取得したデータの裏付けデータを取得する。また、研究代表者が異動した事に伴い、旧所属の連携研究者との打ち合わせのための旅費にも使用する。
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