研究課題
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis, ALS)は、成人発症の運動神経変性疾患であり、進行性に運動ニューロンが変性脱落し、発症3-5年で死に至る神経難病である。有効な治療法がなく、早急は発症機構解明が望まれる。我々は昨年度までに、ALSと他の運動神経変性疾患である脊髄性筋萎縮症SMAとにおける共通のRNA代謝異常としてスプライソソームの異常を発見した。両疾患ではスプライシングを担う本体であるスプライソソームの異常と、スプライソソーム構成因子であるsnRNPの成熟の場である核内GEM小体の減少が起こっていた。よって、スプライソソームの正常化がALS治療の新しいターゲットとなる可能性がある。また、家族性ALSの発症を引き起こす変異を持つFUSタンパク質を過剰発現させたALSモデルマウスを作製したところ、このマウスは神経異常を起こし、かつ脊髄運動ニューロンでは核内GEM小体の減少が起こることを確認した。よってALSおけるGEM小体の重要性が再確認された。FUSは正常では核に主に局在し、細胞質とシャトリングしているが、変異FUSは細胞質へ局在し、かつマウスの加齢に伴い凝集体を形成した。凝集体形成を引き起こしたFUSが毒性を発揮ししているのか、核からの減少により機能不全を起こしているのか、解析を続けている。現在、凝集体を精製し、結合しているタンパク質を同定している。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画は順調に進み、成人発症の運動神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症と、小児発症の運動神経変性疾患である脊髄性筋萎縮症SMAとに共通するRNA代謝異常を発見し、学術論文として発表した。
ALSモデルマウスを作製し、病態と発症機構を解析中である。
消耗品の使用が少なかった
適切に使用する
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Stem Cell Reports
巻: 6(4) ページ: 496-510
10.1016/j.stemcr.2016.02.011
Brain Res
巻: S0006-8993(16) ページ: 30197-4
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