研究課題/領域番号 |
25430061
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
定方 哲史 群馬大学, テニュアトラック普及推進室, 講師 (90391961)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ARF / trafficking / tremor |
研究実績の概要 |
我々は各種薬剤を用いて、振戦に対する効果を検討してきた。その結果、クラス II KOマウスにβ遮断薬であるpropranololや抗てんかん薬であるgabapentinを投与すると振戦の軽減が見られた。このマウス覚醒時の脳波(EEG)、筋電図(EMG)を測定したところ、安静時から姿勢を変える際(点線)に著しい振戦と異常脳波が観察された。このKOマウスに関する解剖学的解析を行ったところ、小脳プルキンエ細胞の樹状突起上に野生型では見られないIP3受容体の免疫染色性の大きな塊が見られた。これを電子顕微鏡にて観察したところ、多層化した小胞体のような異常な構造物が見られた。また、小脳プルキンエ細胞の軸索起始部にある特定のNa+チャネル(Nav1.6)が消失していた。電気生理学的な解析を行ったところ、Na+チャネルの消失によると思われるプルキンエ細胞の活動性に異常な低下も見られた。さらに、小脳の体積の減少、プルキンエ細胞の樹状突起上におけるスパイン密度の増加、小脳登上線維の長さの減少等、解剖学的な異常が小脳において集中してみられた。我々はアデノ随伴ウイルスにより、プルキンエ細胞特異的にクラスII ARFタンパク質を発現させた。その結果、解剖学的には、上記のプルキンエ細胞樹状突起上にあったIP3受容体の免疫染色性の大きな塊が減少し、軸索起始部のNav1.6チャネルの免疫染色性が回復した。また、震戦の低減も確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノックアウトマウスの解剖学的解析、行動学的解析は予定通り進行している。生理学的解析もほぼ予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
生理学的解析で小脳の基礎的な特性がKOマウスでどう変化しているかについて、詰めの実験を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの交配に予想以上に時間がかかり、実験計画の遂行に必要以上の時間を要したため
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次年度使用額の使用計画 |
遅れている実験計画、特に電気生理学的解析に使用予定
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