研究課題/領域番号 |
25430065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
関 貴弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (50335650)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シャペロン介在性オートファジー / ミクロオートファジー / 神経変性疾患 |
研究概要 |
シャペロン介在性オートファジー(CMA)活性を簡便に評価するために、そのマーカータンパク質であるGAPDH-HaloTag (GAPDH-HT)を安定的に発現する細胞をFlp-Inシステムを用いて作製した。GAPDHはHsc70により認識されるCMA基質として知られており、本研究で用いる活性評価法はGAPDH-HTのリソソームへの移行を指標としている。 最近、哺乳細胞ににおいてHsc70を介して後期エンドソームに基質が取り込まれるとの報告がなされ、これが哺乳細胞におけるミクロオートファジー(mA)ではないかと提唱された。よって、GAPDH-HTによる活性評価はCMAだけでなくmAの活性も反映している可能性がある。そこで、GAPDH-HT発現細胞において、siRNAによりCMA関連タンパク質LAMP2A及びmA関連タンパク質Rab7のノックダウンを行うことで、GAPDH-HTのリソソーム集積が影響を受けるかを検討しところ、GAPDH-HTのリソソーム集積はそれぞれ有意に抑制されたが、いずれも単独では完全に抑制することはできなかった。Rab7ノックダウン時のGAPDH-HTリソソーム移行はCMAを、LAMP2Aノックダウン時の移行はmAを反映していると考えられ、この系を用いることで、CMAとmAの両者の活性を評価することが可能であることが示唆された。 遺伝性パーキンソン病PARK7はタンパク質DJ1の機能低下が原因で発症するが、その詳細な分子メカニズムは不明である。この発症メカニズムにCMAあるいはmAが関与するかを検討するため、GAPDH-HT発現細胞にDJ1のノックダウンを行い、GAPDH-HTのリソソーム移行を検討したところ、GAPDH-HTのリソソーム移行が亢進していた。よって、DJ1機能低下によりCMAもしくはmAの活性異常が引き起こされることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来の目的であるCMAだけでなくmAの活性評価も可能な点を明らかにしたところは当初の予定より進んでいるが、トランスジェニックマウスの作製が進んでいないため、予定全体から考えるとやや遅れていると判断考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まずはGAPDH-HT発現細胞株を用いて、DJ1ノックダウン時にCMAとmAのどちらが影響しているのかを検討する。また、これ以外の様々なパーキンソン病関連タンパク質や薬物誘発パーキンソン病モデルを用いて、CMA及びmAのパーキンソン病における関与を検討していく。さらにはパーキンソン病以外の神経変性疾患モデルや精神疾患モデルについても同様の検討を行っていく。 また、トランスジェニックマウスの作製を再度試みて、CMA及びmAの生理機能や疾患発症における関与をin vivoでも明らかにしていく。また、トランスジェニックマウスの代わりに、ウイルスベクターによるin vivoでの遺伝子導入によるin vivoでの解析や初代培養細胞への遺伝子導入によるin vitroでの解析を並行して行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
トランスジェニックマウスの作製が不調であるため、動物実験が進まず、本年度の使用計画よりも使用額が少なくなった。 トランスジェニックマウス作製を引き続き進めていく一方で、ウイルスベクターを用いた遺伝子導入によりin vivoでGAPDH-HTの発現とその解析を試みると共に、初代培養細胞での解析を進めていくことで、本年度使用できなかった費用を来年度使用する予定である。
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