研究課題
基盤研究(C)
外側膝状体ニューロンは、大脳第一次視覚野第4層へ投射するが、皮質で処理された情報は、第6層に存在するニューロンから外側膝状体へフィードバックされている。このフィードバック投射の眼優位可塑性における役割については、これまで知られていない。そこで、解剖学的逆行性標識物質 ( Latex Microsphere ) にChlorin e6を結合させ、これを外側膝状体へ注入することにより、第一次視覚野第6層ニューロンを逆行性標識する。その後、視覚野に光学的刺激を与えることにより標識されたニューロンを選択的に破壊する ( Targeted Apoptosis )。本年度は、Chlorin e6を結合したLatex Microsphereが定常的に生成されることが確認された(分担研究者担当)。このトレーサを実際に注入する前に、Latex Microsphereのみを外側膝状体へ注入し、大脳視覚野のニューロンの標識の選択性について検討を行った。まず、ケタミン・キシラジンの混合麻酔下で、ラットの脳地図に基づきトレーサを微量注入した。トレーサを外側膝状体中央に限局して注入する事は、予想以上に成功率が低く、また、外側膝状体境界内に留まるほど少量では、皮質の標識効率が良くないことが明らかになった。また、眼優位可塑性の評価に関して、申請者らがすでに確立した評価系が適用可能であることを確認した。すなわち、最初期遺伝子c-fosのタンパク産物を免疫組織化学的に染色し、単眼視覚刺激により免疫陽性になるニューロン数を定量的に評価することで、眼優位可塑性のレベルを測定する事ができた。
3: やや遅れている
外側膝状体へのトレーサの注入が、その精度が当初予想していたほど上がらず、実験効率を高めるための措置を講じる必要性が生じた。また、その注入時間が長期化することにより、実験動物の注入手術後の回復が困難になるケースがあったため、注入術式の検討と熟練のための練習が必要となった。
短期間に正確にトレーサを注入するために、短時間で光誘発電位を記録して、外側膝状体の空間的構造予測を行えるようにして、注入の精度と効率の上昇に早急に取り組む。 また、実際にChlorin e6が結合したトレーサを注入し、Targeted Apoptosis の誘導状況との関連を調査する。
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PLoS One
巻: 9 ページ: e90950
10.1371/journal.pone.0090950.