研究課題
網膜神経節細胞は脳内の皮質下のいくつかの部位へ投射し、視覚刺激に依存した神経反射に関わっている。また、外側膝状体を経て大脳皮質への投射し、視覚認知のための高次の神経情報処理を受ける。多くの皮質下の視覚関連領域は大脳皮質からフィードバック投射を受けるが、その多くは大脳視覚野第5層の神経細胞に由来する。例外的に外側膝状体は皮質第6層の神経細胞からの特異的な投射を受け、そのシナプスの数は網膜神経節細胞との間で形成されるシナプス数を大きく上回っている。しかしながら、この視覚野から外側膝状体へのフィードバック投射の機能的な役割は不明である。視覚野全体を大きく破壊することでフィードバックの機能を明らかにしたとする報告はあるが、その特異性に問題があった。本研究では、電気生理学的に外側膝状体を同定してその部位に逆行性トレーサー(クロリンe6結合Latex Microbeads)を注入し、標識される視覚野第6層のニューロンのみを選択的に除去する方法論を検討した。そして、そのフィードバック経路の眼優位可塑性調節における役割を明らかにすることを目標として開始された。感受性期のピークである生後4週齢では、標識成功率が極めて低く実際的ではないことから、注入時期を感受性期のできるだけ後半へ設定する必要があった。種々な実験の結果、生後7週齢で約2週間の片眼遮蔽を実施する方法で実験系を確立することに成功した。また、アセチルコリンエステラーゼ染色によりラット第一次視覚野両眼視領域の境界を明瞭に判別する方法を確立し、申請者らが開発してきたc-Fos Activity Mapping 法によりこのフィードバック投射の眼優位可塑性における関与について評価することが可能となった。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
PLOS ONE
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