研究課題/領域番号 |
25430068
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 幸生 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 准教授 (10295511)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 横浜市 / 神経生物学 / 脆弱X症候群 / シナプス / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
今年度はRNA結合タンパク質とシナプスタンパク質のシナプス前終末への集積を検討した。シナプス前終末の形成の程度を定量するために、シナプス前終末を誘導するタンパク質であるLeucine-Rich Repeat Transmembrane Neuronal Protein-2 (LRRTM2) をビーズに付加し、大脳皮質を用いたニューロンボール培養法で軸索にシナプス前終末を形成させた。その時にビーズ直下の軸索に集積するタンパク質の染色の蛍光強度を測定することにより、定量的に計測する方法を開発した。この方法を用いてシナプスに集積するタンパク質を定量したところ、FMRP(脆弱X精神遅滞タンパク質)が結合するmRNAの翻訳産物のうち、活性帯 (active zone) タンパク質であるMunc-18が三倍程度集積することが確認された。同タンパク質は前年度にプロテオミクスによってシナプス前終末形成に伴い軸索画分で増加するタンパク質として同定されたものであり、プロテオミクスの結果が確認された。また、シナプス前終末の形成に伴いFMRPが集積することを確認する過程で、同タンパク質と相互作用することが知られているArgonaute 2 (Ago2) の集積が確認された。Ago2はマイクロRNA結合タンパク質であり、FMRPと共に翻訳調節を行うことが報告されている。超解像顕微鏡を使用し高精度で解析したところ、Ago2の集積は形成後四時間でピークになることからシナプス小胞が集積した後であると考えられる。このことから、Ago2はMunc-18を含む活性帯タンパク質の翻訳調節に関与する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シナプス前終末に集積するタンパク質を定量的に測定する方法を開発し、活性帯タンパク質であるMunc-18やマイクロRNA結合タンパク質のAgo2の集積を時間空間的に解析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はMunc-18等のシナプス前終末タンパク質が翻訳依存的かつFMRP依存的に集積するかどうかを検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度に動物実験施設の整備の遅れで、Fmr1-KOマウスの納入が遅れた。そのため、予定していたFmr1-KOマウスを用いた研究ができなかった。そのため次年度に研究費の一部が持ち越しとなった。平成26年度はほぼ当初の予定計画通り使用したため、前年度持ち越した額に相当分が次年度持ち越しになる。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、Fmr1-KOマウスの神経細胞を用いた研究を行っており、持ち越し分は27年度分の研究で使用する予定である。
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