エタノールは古くから嗜好性飲料として広く親しまれているが、長期多量摂取によって依存症を引き起こすことが知られている。本研究結果より、エタノールを慢性処置した動物では腹側被蓋野領域において、脂質代謝酵素 (ホルモン感受性リパーゼ:HSL) の有意な増加が認められた。さらに同条件下では、ホスファチジルイノシトール(PI)の有意な増加が認められ、これらの経路に対する阻害薬を処置することによりエタノールに対する依存性が抑制された。したがって、エタノールの慢性処置は腹側被蓋野領域における脂質代謝系を変化させ、ドパミン神経系の反応性に影響を与えている可能性が示唆された。
|