本研究は、「神経細胞の形質膜上で形態形成や機能制御を担う膜型蛋白質が、ユビキチン(Ub)化修飾を受けた後にUb-結合蛋白質であるRabex-5によって、脂質ラフト/カベオラ依存的にエンドサイトーシスされる分子機構」の検証とその生理的な意義について解明することを目的としている。これまで私は(1)Rabex-5(Ub結合ドメインを含むN末端側領域)の融合蛋白質をカラムに結合させたアフィニティカラムを用いたスクリーニングを行った結果、形質膜上のコレステロールや受容体等が局在する脂質ラフトのエンドサイトーシスを制御するCaveolin-1が結合していた(未発表)、(2)実際にRabex-5のN末端側に位置するUb結合ドメイン近傍にはCaveolin-1と結合するためのコンセンサス配列が保存されている(未発表)、ことを見出している。そこで「Rabex-5とCaveolin-1タンパク質分子間相互作用」についてさらに検証するために、本年度(2013年4月~2013年10月)はRabex-5を特異的に認識する3種類のペプチド抗体(それぞれRabex-5の①40~54番目のアミノ酸残基、②84~97番目のアミノ酸残基、③380~394アミノ酸残基、のペプチド領域に対して)の作製を行い、ウエスタンブロッティング・免疫沈降法・細胞免疫染色法などによりそれら抗体の精度についての検討を行った。作製されたペプチド抗体は、Protein Gカラムおよび各ペプチドをカップリングさせたアフィニティーカラムを用いて精製を行った後、検討を行った。しかしながら、今回作製したペプチド抗体は、ウエスタンブロッティングの結果から、Rabex-5以外のタンパク質を非特異的に認識する抗体であることが分かった。上記に示した以外のペプチド領域に対して抗体を作製すべきであることが考えられた。
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