研究課題
本研究は、オリゴデンドロサイト特異的なストレス応答機構を明らかにする上で、リン酸化及びメチル化シグナル変化による器質的変化の制御機構を解明し、白質機能維持によるうつ病の治療応用へと展開する為の研究基盤を確立することが目的である。平成27年度は、まずPI3Kシグナル関連因子のRNAi処理後のデキサメタゾン(Dex)刺激、さらにはPRMT1のRNAi処理後のDex刺激によるそれぞれの経路の活性化や発現変化を検討した。その結果、PRMT1とPRMT8の発現変化に差異が見出されたと共に、PRMT1発現を低下させるとPI3Kシグナルの活性化レベルに変化が見られた。さらに、昨年度までの検討で見出したオリゴデンドロサイト(OLs)の様々な構造変化が神経機能にどのような影響を与えるのか検討を行ったところ、慢性ストレス負荷による白質の構造変化により伝導速度およびNa-K ATPase活性は共に低下傾向を示した。この変化がOLs-神経軸索間の情報伝達により引き起こされているか否か検討するため、Naイオン等の変化を捉えることの出来る細胞膜電位変化を測定したところ、神経細胞や未成熟OLsでは有意差に変化しなかったが、成熟OLsのみ膜電位変化が有意に低下することを見出した。以上の検討から、慢性ストレス負荷によるOLsの構造変化が神経軸索の活性化レベルを低下させている可能性について明らかに出来た。さらに、この成熟OLsの活動レベルの低下には、PI3Kシグナルによるリン酸化だけでなく、PRMTsファミリーによるタンパクメチル化シグナルの関与の可能性を見出すことが出来た。本研究に関する内容については、原著論文としてBBRCやScientific Reports等に3年間の本研究成果を掲載済みである。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
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