研究課題/領域番号 |
25430089
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中島 圭介 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60260311)
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研究分担者 |
矢尾板 芳郎 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00166472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | TALEN / Xenopus / knock out / genome editing / oocyte / host transfer / ゲノム編集 / ゼノパス |
研究実績の概要 |
本研究はTALENによるゲノム編集効率をF0世代で100%まで向上させる事を目的とする。TALENを用いた実験は受精卵にTALEN mRNAを注入する方法が一般的であるが、注入を行ったF0世代での変異導入効率は70~90%の場合が多い。大部分の遺伝子が変異導入されているとはいえ、わずかな野生型の遺伝子も残っておりこれらの働きを無視する事はできない。完全なノックアウトホモ個体を得るためにはF0同士を交配させF1を得る必要が有るが、アフリカツメガエルでは2~3年、ネッタイツメガエルでも1年の成熟期間を必要とする。F0世代で完全なノックアウトホモ個体を得るために本研究では卵母細胞にTALENを注入し、これを数日後に雌の腹腔に戻してから排卵・受精させる方法を用い、遺伝子発現の始まる前の発生段階であるstage 8において100%の変異導入効率を記録した。また、TALENとmCherryの融合タンパク質をコードするmRNAを卵母細胞に注入し、 mCherryのタンパク質の発現量をWestern blottingで調べたところ、卵母細胞では受精卵と比較してタンパク合成が殆ど行われていない事が判明した。卵母細胞でのタンパク合成を促進するために DEADSouth 5’UTR を TALEN に付加したところ、卵母細胞でのタンパク合成を促進する事が判明した。ここまでの成果を原著 ” Highly efficient gene knockout by injection of TALEN mRNAs into oocytes and host transfer in Xenopus laevis” (Biology Open2015)、国際シンポジウム “15th International Xenopus Conference, Pacific Grove, CA, USA” で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵母細胞の取り出し、ろ胞細胞の除去。 TALEN mRNA 注入、プロゲステロン処理による欄成熟、雌の腹腔への卵母細胞の注入、排卵誘導、人工受精という複雑で高度な技能を必要とする操作は全て実現し、高い変異導入効率を達成した。さらに TALEN mRNA に DEADSouth mRNA の 5’UTR を付加することにより卵母細胞でのタンパク合成効率が高まる事を突き止めた。これらの成果を原著論文として発表し、さらに2つの国際学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこの技術を用いて様々なノックアウトガエルを作製し、変態の分子機構を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画が順調に進行したために、翌年度に計画していた国際学会での発表を当該年度に繰り上げて行った。国際学会への参加費は翌年度に計上していたために、当該年度の予算が足りなくなり、翌年度の予算から60万円当該年度に振り替えた。予算振替の申請時期が限られているために多めに振り替えたので、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の予算から多めに繰り上げたので、翌年度の予算は不足気味である。このため次年度使用額と当初からの翌年度の予算を合わせてこれまで通りに研究を進行させる。
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